タイヤに新品の自転車…川は大量のごみでいっぱい ごみ拾いを宝探しに 「夢は岡崎市民38万人で川掃除」

誰がこんな物を捨てたのか・・・

海洋プラスチックごみの問題が深刻化しています。海洋ごみの7、8割は街から発生し、雨が降った際などに、ごみが川や水路に流出し海へ至ります。2050年には魚より海洋ごみの量が多くなると言われていて、国や企業だけでなく、1人1人のごみを減らす意識や行動が、海の未来を守ることに繋がります。

そんな海洋ごみの問題を解決するため、注力している団体や企業の取り組みを取材し、全3本に渡ってお届けします。今回は、歴史と川と共に歩む町、愛知県岡崎市で川の環境保全活動する団体の活動を取材しました。

岡崎城 ※写真提供:岡崎市

大河ドラマ「どうする家康」。主人公である徳川家康の生誕の地として盛り上がったのが愛知県・岡崎市。多くのゆかりの地があり、歴史好きにも親しまれています。

乙川

そんな岡崎市の中心部に流れているのが一級河川「乙川(おとがわ)」。乙川は岡崎市の東西方向に流れ、南北に流れる一級河川「矢作川」最大の支流。岡崎城の南から、岡崎の町を蛇行して、額田の山間にまで行きつく乙川は、かつては岡崎の街を河川の輸送で支えてきました。

桜まつり ※写真提供:岡崎市

現在は夏には花火大会、春には桜まつりが乙川周辺で行われ、今でも市民の生活に欠かせない川なんです。

宝物からガラクタまで見つかる! 川の清掃活動

乙川沿いの橋の畔に集まる人たち

2023年12月9日土曜日の早朝、乙川のほとりには、子供から大人まで多くの人が集まっていました。これは「おとがわリバークリーン」というイベントで、毎週第2土曜日に行われ、「遊びながら楽しくごみを拾おう」という有志による環境美化活動です。

市民グループ「ONE RIVER」

主催するのは、乙川が大好きな市民による任意グループ「ONE RIVER」。乙川の魅力や流域の資源や価値の発信を主軸に置いた「啓発事業」や、乙川の新しい使い方を実践しながら活動の基盤をつくる「収益事業」などを行っています。

朝9時ごみ拾いスタート

朝9時、各グループで目標を決めてからごみ拾いスタート。

川の中まで入って徹底的にごみを回収

乙川の一部のエリアを各グループ分担します。企業で参加する人もいました。

工事用資材らしき物体を回収した高校生

透明度の高い川に見えますが、いざ中に入ってみると多くのごみが見つかりました。

台車もごみでいっぱい

台車いっぱいのごみを回収しました。

この日回収した全てのタイヤ

たった1時間でタイヤや工事用資材、自転車などあらゆるごみが出てきました。

ごみの種類に分けて分別

最終的に分別し、どんなごみを拾ったのか各グループで発表。感じたことや考えことを参加者全員で共有します。ほとんど壊れていない自転車も川に捨てられていました。

参加した高校生たち

高校生たちも参加。どんなごみを回収したかなど報告していました。

恒例の綱引き

そして最後は「ONE RIVER綱引き!」を開催しました。この恒例行事で大人も子どもも大盛り上がり。記念の集合写真も撮影し1年の最後を楽しく締めくくりました。

「みんなでリバークリーンしたら一気に綺麗になる この輪をこれからも頑張って広げていきたい」

プロジェクトマネージャー岩ヶ谷充さん

ONE RIVERのプロジェクトマネージャー岩ヶ谷充さんに話を聞いてみました。

岩ヶ谷充さん:
岡崎市の市域内に乙川流域全体が含まれているんですね。上流の水が湧き出ているところから、下流の矢作川への合流地点、さらに下っていくと矢作川があって合流するんですけど、そこまで全部、岡崎市の中に含まれている。地理的特性がある川なんです。

僕らの夢は岡崎市民38万人みんなでリバークリーン。そうすれば上流も下流も一気に綺麗になると思っていて、この輪をこれからも頑張って広げていきたいなって思ってます。

最初のころは「なんでごみが減らないんだろう」という気持ちでごみ拾っていましたけど、子供たちは宝探しみたいな形で楽しみ出して、そこからすごく輪が広がって、今に至っています。

探せば探すほど見つかるごみの数々

次回、中編では川の清掃活動の手助けになる最新技術を紹介します。
(1月27日土曜11時に記事配信予定)

© テレビ愛知株式会社