兵庫県三木市のふるさと納税返礼品から、人気漫画「オーイ！ とんぼ」のキャラクターが描かれたゴルフボールが外れたことが分かった。ふるさと納税返礼品に関するルールが見直され、国から「市内で製造した製品に限る」との指摘があったという。市は復活を目指し、総務省に働きかけている。（長沢伸一）
「オーイ！ とんぼ」は週刊ゴルフダイジェストで連載中の漫画。今年4月からはアニメ化も予定されている。
漫画のイラストは、全国高校・中学校ゴルフ選手権春季大会の公式キャラクターに起用されている。大会は2021年から三木市で開かれており、同市は22年9月、漫画の主人公が描かれたゴルフボールをふるさと納税の返礼品に登場させた。すると22年度、およそ半年で約2億7千万円の寄付を集める人気となり、同年度の市全体の寄付額は約9億3800万円で、全体の3割を占めた。23年度も好調だったという。
一方、ふるさと納税返礼品の基準として、国は地方団体のキャラクターグッズなどに関し、形状や名前、その他の特徴が「その地方団体独自の返礼品であることが明白なもの」と定めている。
国は昨年6月、この基準に関する見解を発表。「認められないと考えられる例」として「ゴルフによる町おこしの一環として、区域外で製造されたゴルフ用品に当該地方団体のキャッチコピーを印字したもの」を挙げた。三木市にはゴルフボールを製造している工場などはなく、見直しが適用された昨年10月、市はふるさと納税返礼品から「オーイ！ とんぼ」のゴルフボールを外した。
市は現在、総務省に「ゴルフのまち」に関する施策などを説明。「高校生の全国大会である春高・春中ゴルフは三木市でしか開かれていない。大会やゴルフのまち・三木をPRするための独自の返礼品である」として、復活に向けた働きかけを続けている。 ### ■ゴルフ以外の魅力もアピールへ、ボールは通販で購入可能に
三木市では19日時点で、ふるさと納税返礼品に736点を登録している。昨年12月には、新しい返礼品として「サーティワンアイスクリーム」が登場。体験型の返礼品にも力を注ぐ。市縁結び課は「ふるさと納税は三木市を知ってもらうきっかけになり、市内経済の活性化にもつながる。ゴルフボールが外れたのは痛いが、別の魅力にも触れてもらえれば」と声を強める。
昨年12月、体験型の新たな取り組みとして「関西おでかけ納税」を始めた。旅行中などにスマートフォンで三木市のふるさと納税に寄付をすると、市内の登録事業所で、その場で使えるデジタル商品券が手に入る。
大阪ガスと電子ギフトサービスを手がける「ギフティ」がサービスを提供しており、県内では宝塚市に続く2番目。現在はゴルフ場など三木市内22事業所が参加しており、ネスタリゾート神戸など10事業所が準備を進めているという。
なお「オーイ！ とんぼ」のゴルフボールは、インターネット通販「テレ東アトミックゴルフ」のサイトで購入できるようになった。同社は市制70周年記念事業のパートナー企業となっており、三木市公認グッズとして数量限定で販売する。これまではふるさと納税返礼品限定だったため、市民が手に入れることができなかったという。市縁結び課は「手に取って西日本最多の25カ所のゴルフ場がある三木市の魅力を知ってほしい」としている。
