「やしゃごみたいでかわいい」高齢者の体操教室にロボットを試験導入/青森・弘前市

ロボットと握手や会話を楽しむ高齢者=15日、弘前市の坂元集会所
ロボットと一緒にボクササイズを楽しむ高齢者ら

 少子高齢化が進む地域社会の「つなぎ役」にロボットを活用しようと、県中南地域県民局は今月、青森県弘前市での健康体操教室にコミュニケーションロボを試験導入している。参加者は、自分の孫やペットと遊ぶように会話や体操などを楽しんでおり、担当者は「地域に楽しい場ができ、住民の交流が活性化するきっかけになる」と期待する。

 「ボクの仕事は、みんなを笑顔にすることだよ」。コミュニケーションロボNAO(ナオ、アルデバラン社の登録商標)が質問に答えるたび、参加者から「すごい」「賢いね」と声が上がり、会場は笑いに包まれた。15日に同市の坂元集会所で開かれた体操教室では、高齢者十数人が一緒にボクササイズを楽しんだり、手をつないで散歩をしたりした。笹テツさん(85)は「やしゃごみたいでかわいい」と目を細めた。

 ナオは身長約60センチ。二足歩行をし、体操や人とのおしゃべりなどができる。全国では高齢者施設や住民交流イベントなどで活用が広がっているという。活用プログラムを開発する三菱総研DCS(本社東京)の山口凪さんによると、ナオは5~6歳の子どもの設定。「失敗しても許され、上手にできれば褒められる。参加者は成長を見守るような気持ちになる」と話す。「最先端ロボを見たい」と、男性のイベント参加率が高いのも特徴という。

 県が昨年12月に策定した次期県基本計画によると、中南地域の1人暮らし高齢者は約1万4千人で全世帯の13.5%。今後さらに比率が高まるとみられ、高齢者を孤独にしない取り組みが求められている。同県民局地域支援チームの久保田聡チームリーダーは「コミュニケーションロボは、高齢者を地域の集まりに呼び込むだけでなく、若者や子どもらとの接点にもなる」と強調。県は今後も活用の可能性を探る方針だ。

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