陸奥湾ホタテ 被害41億円/昨夏高水温 県、月内に助成条例発動 2010年に次ぎ深刻

 2023年夏の高水温による陸奥湾ホタテガイの大量死を巡り、青森県は19日、同年の被害金額が41億1581万円に上ると明らかにした。同様に高水温被害が発生した10年の被害金額64億3207万円に次ぐ深刻な状況。県は漁業者の資金調達を支援する「県農林漁業災害経営資金融通助成条例」を月内に発動させる方針。

 被害金額は、沿岸7市町村から報告された額を積み上げて算出した。市町村別では、水揚げ量が県内最多の平内町が13億3079万円、青森市が10億642万円、横浜町が6億3627万円など。

 陸奥湾ホタテの販売金額は例年、100億円を超えている。

 19日、県議会農林水産常任委員会で報告した赤平次郎農林水産部長は「23年の被害金額は、条例発動の条件である4億円の10倍以上。災害として受け止め、国にも支援を求めていく」と述べた。

 漁協や県などが昨年行った秋季実態調査によると、昨年春に生まれた稚貝は52.5%、今年以降親貝となる新貝は36.5%が死滅した。成貝と新貝の保有枚数は合計7115万枚で、稚貝を安定的に確保できる目安である1億4千万枚の約半数にとどまっている。

 湾内漁協でつくるむつ湾漁業振興会の立石政男会長は取材に「本来出荷するはずだった半成貝を親貝にするために残すことを考えると、被害金額はさらに大きくなるのではないか」と話した。

 同振興会は親貝確保に向け、基金造成を進めている。県は25日、基金への支援を求めて、県議会や関係市町村とともに農林水産省に緊急要望を行うほか、1月中に開催する庁内連絡会議で漁業者の生活支援策を検討する。

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