パンダの「食べ残し」が変身! 竹が食器や灯りに、南紀白浜アドベンチャーワールド

屋外運動場で竹を頬張るパンダ「結浜」(昨年12月27日撮影)と、竹を使ったアドベンチャーワールドの製品

 和歌山県白浜町のレジャー施設「アドベンチャーワールド」は、ジャイアントパンダが食べない竹の幹や食べ残した枝葉を資源として使う取り組みに力を入れている。従来の廃棄物を有効に活用し、処分量を大幅に減らすことで「循環型」の施設運営を目指している。

 施設は現在、4頭のパンダを飼育している。餌となる竹は大阪府岸和田市などから調達するが、食べない部分として年間で約100トン残っていた。

 持続可能な開発目標(SDGs)が注目される中、施設は「再利用できないか」と考えた。そこで始めたのが、竹幹に穴を開けて内側からライトを照らす「竹あかり」の企画だった。2019年夏のことだ。企画は現在も続けている。

 以降、竹幹を細かく砕いてチップ状にしたものを雑草対策に使っているほか、竹も材料にするタンブラー(コップ)や指輪、食器を開発した。枝葉は他の動物の餌にしたりイカの産卵床に活用したりしている。他に堆肥や道の舗装に使えないか試験、検討もしている。

 「パンダバンブープロジェクト」と名付けた一連の活動で、竹幹は廃棄物として処理することがなくなったという。民間企業や大学、芸術家らとの接点もでき、「プロジェクトを通じて多くの人とつながる」という考えを実践する。

 施設スタッフでプロジェクトリーダーの徳岡晃一さん(41)は「パンダがいるアドベンチャーワールドだからこその取り組みだと思うし、まだまだ新たな価値は生み出せると思っている」と今後も発展する可能性に期待している。

 施設によると、竹の枝葉の部分はまだ処分している分がある。「100%循環型の施設を目指す。実現できれば社会へ発信したい」と話している。

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