「土の中に激ウマのごちそうが眠っている」とのウワサを聞きつけてやってきたのは、愛知県・北東部、奥三河の山間にある豊根村。さっそく、村の人たちに話を聞くと「粘りと濃さが普通のものとは全然違う」「とてもおいしい」と次々と有力情報が集まります。
1年でわずか5~10年しか成長しない貴重な自然薯
豊根村で暮らす村民たちが絶賛する「土の中のごちそう」とは、山で採れる天然の自然薯。スーパーなどで販売される自然薯とは異なり、天然ものの自然薯は1年でわずか5~10年しか成長しない大変貴重なもの。1メートル超えの大物ともなれば、10年~20年以上にわたって蓄えられた栄養が満点。もちろん、味は格別です!
環境の変化によってますます稀少となった天然の自然薯ですが、豊根村では令和の今が収穫の時季。村民の中には、グループで山に入って自然薯を採る人の姿も。今回は村松勝洋さんにご好意をいただき、特別に自然薯の収穫に同行させてもらいました。
幼い頃から仲が良く、今でも家族ぐるみで付き合いがあるという村松さんたちのグループは、夏には鮎、秋には地バチと豊根村の山や川の恵みを取ってはワイワイ楽しんでいるとのこと。「汗をかいたあとの一杯がうまい」と自然薯掘りの打ち上げ飯を楽しみに、山へと向かいます。
天然自然薯の目印となる「細長いハート型の葉っぱ」
天然自然薯の目印となるのが「細長いハート型の葉っぱ」。ほかの植物につるを巻き付けながら伸びる自然薯は、その先端に特徴的なハート型の葉っぱをつけるため、山を歩きながらこの葉っぱを頼りに探していくんだそうです。
とはいえ、たくさんの植物が生い茂る山の中には似たような葉を持つものも多く、そう簡単に見つけられるものではありません。
地主の許可を得た上で山の急な斜面を降り、道なき道を進むこと1時間半。ようやく、「細長いハート型の葉っぱ」を持った自然薯のつるを発見します。しかし、自然薯採りはここからが本番! つるを慎重に辿って自然薯の根を探し出し、慎重に掘り出さなければなりません。
つるはしも使いながらつるの先を慎重に掘り進めていくと、ようやく天然自然薯の先端が姿を現します。
慣れていても大変な収穫作業
急な斜面で作業を行うのでかなり重労働。山に慣れている村松さんたちのグループメンバーも、10分程度で交代しなければならないほどのキツさです。土の中にはほかの植物の根もびっしり生えていて、それを切りながら掘り進めていかなければならないのも過酷な作業です。
最後は貴重な自然薯に傷をつけないよう、遺跡の発掘作業と同じように手で慎重に発掘。発見から1時間以上かけて、ようやく貴重な天然自然薯を掘り出すことに成功しました。
推定10年もの! 立派な自然薯をゲット
今回掘り出した自然薯のサイズは約70センチ。推定10年ものの立派な自然薯です。グループの力を合わせて採った自然薯は、グループのみんなですりおろすのがあたりまえ。獲れたての天然自然薯をすりおろすと、まるでお餅のようなもっちりと強い粘りが出てきます。
この自然薯にお酒と玉子、そして地元豊根村で採れたシイタケの出汁を加え、さらに20分しっかりすりまぜることでようやく「天然自然薯のとろろ」が出来上がりました。
出来上がった「天然自然薯のとろろ」をかけたとろろ飯は、自然薯が持つと強い粘りと濃厚なうまみがたまらない一杯。村松さんたちのグループは無言で完食していました!