アラサー男女の恋模様を描いた「アイのない恋人たち」、今夜スタート――福士蒼汰が“愛に欠けた主人公”の魅力を語る

ABCテレビが2023年4月から新設し、日曜夜10時の全国ネット連続ドラマ枠の第4弾として本日1月21日から放送がスタートする新ドラマ「アイのない恋人たち」。2024年の東京を舞台に、恋愛偏差値が低い訳あり男女7人が織り成す愛の物語を脚本家・遊川和彦さんが描いていきます。

本作で主演を務めるのは、遊川さんとは初タッグとなる福士蒼汰さん。演じる主人公・久米真和は「3回会った女性とは連絡を断つ」と決め、“愛”に欠けている一癖も二癖もある役ですが、そんな真和を福士さんは「愛のない代表と言いつつ、一番愛が欲しい人物」と語ります。

――あらためて、本作のお話が来た時の率直な気持ちを教えてください。

「今作は男女7人の群像劇ですが、僕自身、群像劇というものが意外にも初めてなんです。今まで出演させていただいたラブストーリー作品も、三角関係に発展するようなお話が多かったので、アラサー男女の群像劇で、みんながそれぞれ動いて…というのも初めてで、すごく楽しみでした。でも脚本を読んでみたら、こじらせている登場人物ばかりで(笑)、自分はどうこじらせていこうかと考えながら読んでいました」

――今回演じる久米真和も、これまで演じられてきた役とは違った新しい役なのかなと思います。

「そうですね。それこそ『愛のない男性』と言いながら、本当は一番愛が欲しい人物で、脚本家としての自分の夢に対しては人一倍愛がある、情熱的なキャラクターだと思います。ただ、その仕事への情熱があるが故に『恋愛は今はちょっといらない、人という面倒くさいものに関わりたくない』というさっぱりしたキャラクターなんだと思います。そこがこじらせてしまっているというか。本当は、脚本を書くにも何をするにしても人というものが大事なのに、真和は書くことに集中したいからと人を遠ざけていっているんです。でも、今村絵里加(岡崎紗絵)という誰とも付き合ったことがないピュアな人が現れることで、真和自身のピュアさもちょっとずつ出てくるようになるのかなと期待しています」

――今作では脚本家役を演じられるということで、本作を手掛ける遊川さんと同じ立場になりますが、脚本家としての目線も今までと変わりましたか?

「実は違う作品で実際に脚本を書いて、監督をやらせていただいたんです。同じタイミングで脚本家役を演じたこともあって、脚本家特有の、プロデューサー陣から『これってどういう意味ですか?』と細かいニュアンスまで深堀りされるような感じや、『じゃあ来週、早い段階で出来上がりますよね』と締め切りに追われる感じが、脚本からすごくリアルに伝わってきて。たぶん、遊川さん自身が感じていた思いが盛り込まれているのだろうなと感じます。真和は逆立ちをするシーンがあるのですが、遊川さん自身もやっていたことらしくて。『頭に血が上るように、当時やっていたんだ』とおっしゃっていたので、そういうルーティンは遊川さんご自身の要素が組み込まれているのだと感じています」

――撮影の雰囲気はいかがしょう?

「ちょっと複雑性がある世界観なので、『この感情はどう表現する方がいいのかな』『この人の性格だと、感情の切り替わりがほかの人よりも早いかもしれない』と、感情の部分を大事にしながら演じています。監督とも密にコミュニケーションを取って、細かく撮影している感覚です」

――撮影前に「真和をこう演じてほしい」というオーダーはありましたか?

「ありました! 最初に『格好よくいないでほしい。そこだけは注意して』と遊川さんからオーダーを受けました。確かに格好いい役ではないと思ったので、僕としてはある意味『ちょっと嫌われるようにしよう』と何回も脚本を読んでいて思ったところです」

――物語では、自分のない淵上多聞、見る目がない郷雄馬との掛け合いも見どころになるかと思います。多聞を演じる本郷奏多さん、雄馬を演じる前田公輝さんの印象を教えてください。

「本郷さんは以前『弱くても勝てます』(日本テレビ系)という作品で共演したことがあって、その時もあまり話せなかったので、結構久しぶりで。僕は本郷さんのような独特な方が好きなので、再共演できることがうれしいです。今回は一緒のシーンが多いから、どんな人なのかより探っていきたいです。前田さんはプライベートで一度だけお会いしたことがありますが、お芝居では初めてご一緒します。雄馬はものすごくテンションが高い役で。本読みの時から『もっと高く! もっと高く!』と演出のオーダーが入っていたので、『大変そうだな…』と思っていました。本人も『俺、雄馬でいる時はテンション高くなっちゃうから、ごめんね!』と言っていて(笑)、前田さんご本人はすごくいい方なので、3人で飲みに行きたいです!」

――本郷さんと前田さんのテンションの差がかなりありそうですね。

「全然違います。自分で言うのも変なのですが、テンション感でいうと、僕が中間みたいな感じなんです。あの2人といる時はどうなっていくのか、僕自身も気になります。3人含め、みんな何かしらの“アイ”が欠けたこじらせ人間なので、リアルなんですよ。『こういう人って実際にいるんだろうな』という人物が7人いて、十人十色というか、みんなそれぞれ個性があるので、そういう部分は見ていても面白いかなと思います」

――本作は“アイ”が欠けた人物の物語ですが、福士さんが人と関わる上で「すてきだな」と感じるのは、“愛を持っている人”・“人を見る目がある人”・“自分を持っている人”のうちどれか、教えてください。

「その三つで言ったら、“愛を持っている人”です。愛がある人は、それが作り上げた愛だとしても、その愛というのは結局優しさだなと思ったりするんです。例えば『そんなにやらなくていいよ』とおせっかいな愛になったとしても、その相手の方と愛情を持ってやりとりをしていると思うと、『あー、悪い人じゃないな』と僕は感じるので、ほほ笑ましいというか。その人を笑顔にしようと思っている愛を持っている人は、いいなと思います。逆に“人を見る目がある人”というのは、自分主体で考えると『自分の人生は良くなるな』と思うのですが、周りにそれがいいと思われるかは全く別なのかなとも思います。“自分を持っている人”は、たまに人を傷つけてしまうこともあると思っていて。多聞がまさにそうで、多聞が言ってしまったことで、誰かを傷つけるシーンも出てきます。自分を持っていない人が持っているように振る舞ったりするとそれが凶器になったりするから、そこは注意して、自分を殺す瞬間があってもいいかもしれないなと感じますね」

――ドラマもいよいよ放送が始まります。最後に本作の見どころを教えてください。

「こじらせた男女7人の恋模様がどのように進んでいくのか、それぞれがどう成長していくかが見どころだと思います。恋愛は人を成長させるものだと思うので、それがうまくいかないのだとしても、その中で人が成長していく成長過程は面白いと思いますし、その成長過程を自分の友達のような目線で見てもらえると、すごく共感できるリアルな作品になっているのではないかと思います。第1話では真和と絵里加はマッチングアプリを通じて出会いますが、現場でも『結局2人はくっつくのかな?』と先を想像して盛り上がっていて。どうなるか分からないですが…うまくいってほしいなと思っています!」

【プロフィール】

福士蒼汰(ふくし そうた)
1993年5月30日生まれ。東京都出身。ドラマ「大奥」シリーズ(NHK総合)、「神様のカルテ」「弁護士ソドム」(ともにテレビ東京系)、「DIVER-特殊潜入班-」「アバランチ」(ともにフジテレビ系)、「THE HEAD Season2」(Hulu)などに出演。2024年にはWOWOW「アクターズ・ショート・フィルム4」にて初監督作品の放送・配信が決定している。また、ダブル主演映画「湖の女たち」が24年5月公開予定。

【番組情報】

「アイのない恋人たち」
1月21日スタート
テレビ朝日系
日曜 午後10:00〜10:54
※放送終了後、TVerで最新話を見逃し配信
※TELASA、U-NEXTでは全話見逃し配信

取材・文/平川秋胡(ABCテレビ担当) 撮影/蓮尾美智子 スタイリスト/髙橋美咲(Sadalsuud)
セットアップ/JUNO(JUNO△恵比寿店 03-5778-3031)、パールネックレス/TASAKI(株式会社 TASAKI 0120-111-446)、シューズ/アトリエユカ( Atelier Yuka 銀座サロン 03-6263-2119 )

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