水戸京成百貨店 不正指摘後も継続か 元社長 従業員の投書認識 茨城

水戸京成百貨店=水戸市泉町

水戸京成百貨店(茨城県水戸市)を巡る国の雇用調整助成金の詐取事件で、同社内に設置された「目安箱」に不正受給を指摘する従業員からの投書が寄せられ、当時社長の斎藤貢容疑者(66)が内容を確認しながら、その後も不正を続けていた疑いがあることが20日、捜査関係者などへの取材で分かった。

捜査関係者によると、従業員から「休んでいないので雇調金はもらえないのではないか」などと指摘する投書が目安箱に寄せられたことを斎藤容疑者も確認していた。

目安箱は従業員の悩みや不満を聞くため社内に設置。投書は斎藤容疑者が確認し、総務部との間で回答を作り、社内に張り出していた。同社関係者によると、不正受給を疑う投書については、正当ではない回答が掲示されていたという。

親会社などの調査によると、社内では当時、給与明細を見た従業員から、休暇日数が「実際よりも多い」といった問い合わせが毎月数件あったが、人事担当者が対応していなかった。

同社では、2020年4月から22年10月までの間、勤務データを改ざんし、従業員が出勤していたにもかかわらず、休業扱いにするなどして、国に助成金を申請。計3億円余りを不正に受給していた。

県警は目安箱や投書について把握しており、斎藤容疑者が不正を指示していた疑いがあるとみて調べている。斎藤容疑者は逮捕前、茨城新聞の取材に「不正を指示していない」と関与を否定していた。

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