陸自幹部20人、神社に集団参拝 宮古島駐屯地20人が制服で公用車使う 防衛省次官通達に違反の可能性

陸上自衛隊の宮古神社参拝に抗議する仲里成繁共同代表(中央)ら=20日、宮古島市平良下里

 陸上自衛隊宮古島駐屯地トップの比嘉隼人宮古警備隊長(1等陸佐)ら幹部隊員約20人が10日、制服を着て公用車を使い、沖縄県宮古島市平良西里の宮古神社に参拝していたことが20日までに分かった。神社側も参拝を確認している。宗教上の礼拝所を部隊で参拝することを禁じた防衛省事務次官通達に違反する可能性がある。同駐屯地は取材に対し「担当者が不在のため、22日以降に回答する」としている。(宮古支局・當山学)

 「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」(仲里成繁、尾毛佳靖子、上里清美、清水早子共同代表)が20日、市内で会見を開き、入手した情報を発表した。それによると10日午前10時半ごろから正午ごろ、比嘉警備隊長らが同駐屯地のマイクロバスなどを使って参拝に訪れたという。休暇を取っていたかどうかは不明。

 防衛省は1974年の事務次官通達で「神祠(し)、仏堂その他宗教上の礼拝所に対して部隊参拝すること及(およ)び隊員に参加を強制することは厳に慎むべきである」と示している。

 同会は「組織的参拝」に抗議する声明を発表。「隊員が内部通達を破り、禁止事項をあえて犯すことは文民統制を壊すことであり、戦争時代の『軍部の独走・暴走』を想起させる」と批判した。2月に予定されている同駐屯地創立5周年記念行事の中止や、能登半島地震の救援活動を最優先することも併せて求めた。声明を同日付で木原稔防衛相に郵送し、22日にも比嘉警備隊長宛てに提出する。

 陸自を巡っては9日、小林弘樹陸上幕僚副長ら数十人が東京都の靖国神社を集団で参拝し、通達に違反した可能性が指摘されている。木原防衛相は12日、「誤解を招く行動は避けなければならない。判明した事実関係に基づき厳正に対処する」と述べている。

 宮古神社は、那覇市の波上宮から分祀して迎え入れた熊野三神と、かつて宮古島を統治した豊見親三柱を祭っている。

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