取り壊し一転、海の家が貸別荘に 洲本・五色の海一望 祖父の生誕地で京都の姉妹がリノベ

レストランと貸別荘を運営する(左から)西浜萌根さん、愛乃さん=洲本市五色町鳥飼浦

 大きな窓から穏やかな海を一望できる貸別荘式の宿泊施設「TORIKKA STAY(トリッカ・ステイ)」が、兵庫県洲本市五色町鳥飼浦に誕生した。京都市で宿の運営に携わる西浜愛乃さん(40)=同市上京区=と妹の萌根さん(38)=同市東山区=が、取り壊しが決まっていた海の家をリノベーション。美しい海岸の魅力を満喫できる新たな拠点へと生まれ変わった。(古田真央子)

 トリッカが立つのは新五色浜。さまざまな色の玉石が美しい景観で知られ、石は県から郷土記念物の指定を受け、保護されている。

 元々、新五色浜は海水浴場で、トリッカの建物は「五色県民サンビーチ」というシャワーなどを備えた海の家として洲本市が管理。しかし、市は2021年に公共施設の再編で海の家の取り壊しを決め、海水浴場も新型コロナウイルスの影響で休止が続いている。

 そんな中、地元住民らの希望で、市は海の家の建物を町内会に譲渡。住民らが建物を残す道を模索していると知った西浜さん姉妹がリノベを発案した。

 鳥飼浦は2人の祖父が生まれた土地。2人は幼い頃から、墓参りで年1回は訪れてきた。愛乃さんは、海や山に囲まれたこの場所を「昔は気付かなかったが、大人になって唯一無二の場所だと感じた」という。

 2人は一昨年の8月ごろから町内会と話し合いを重ね、リノベについて検討。萌根さんは「町内会のバックアップがあって、実現できた」と振り返る。

 トリッカは2階建て。1階には島の食材を味わえるレストラン「TORIKKA TABLE(トリッカ・テーブル)」が入る。

 2階は貸別荘。リビングは広さ約80平方メートルもあり、天井の高さ最大4メートル、L字型の窓は幅16メートル、高さ2.4メートル-と開放的な造りが特徴だ。ほかに海を望める浴室や三つの寝室があり、キッチンには食器や冷蔵庫、調理器具などがそろう。

 愛乃さんは「広い空間で海を見ながら景色に溶け込み、何もしない時間を満喫してほしい」と話す。

 地元について「知れば知るほどいい所」と2人。「自然の良さを損なわないように運営していきたい」と力を込めた。

 レストランは午前11時~日没。不定休。貸別荘は1日1組限定。最大10人まで。1泊約7万円から。詳しくはインスタグラムで。トリッカ・テーブルTEL0799.34.0009

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