動物園併設型の通信制高校、宇都宮動物園に「全国初」 4月開校、動物飼育など9コース

原田校長(左)と伊川代表=1月上旬、宇都宮動物園

 動物園で動物と触れ合いながら、職業的スキルやコミュニケーション力を育むユニークな取り組みが今春始まる。長野県に本校を置く通信制高校、さくら国際高は4月1日、栃木県宇都宮市上金井町の宇都宮動物園に宇都宮キャンパスを開校し、「動物飼育」など9コースを設置する。同キャンパスの原田浩司(はらだこうじ)校長(70)は「動物園併設型の通信制高校は全国初。他にない教育環境を生かし、生徒の社会で生き抜く力や自信を育みたい」と語る。

 さくら国際高は、長野県上田市に本校を置く広域通信制高校。33都府県にキャンパスや学習センターを設置している。本県へのキャンパス設置は初めてで、昨年12月28日に長野県から設置認可を受けた。

 宇都宮キャンパスの校舎は、動物園内や隣接する園の施設を活用。「動物飼育」「ビデオグラフィティー」の2コースは実習も同園で行う。「動物飼育」は飼育員や獣医師の指導の下で動物の世話をし、愛玩動物飼養管理士の資格取得も目指す。「ビデオグラフィティー」は園内の動物を題材に撮影するなど映像技術を学ぶ。

 そのほか県内4カ所の学習塾や事業所をサポート校に位置付けた。鹿沼市内のペットサロンでトリミングや警察犬訓練士によるドッグトレーニングを学ぶ「ペット総合」など、コースに応じた体験を実施する。初年度の募集定員は計72人。

 運営を担うのは、学習塾や放課後等デイサービスを経営する宇都宮市の合同会社Crew(クルー)。伊川夢起(いがわゆめき)代表(33)は、不登校経験者が卒業後の進路で問題を抱える姿を数多く見てきたという。「就業に直結する社会的スキルを学べる通信制高校が必要」との思いで、教育理念が一致するさくら国際高の理事長と会い、開校に至った。

 伊川代表は「動物の仕事に関わりたいという不登校経験者は多い。動物に関連するコースは必須だった」と思いを明かす。同園の荒井賢治(あらいけんじ)園長(59)は「学びへの協力は動物園の社会貢献の一環。生徒たちが園での体験を通して社会を知るきっかけになれば光栄」と期待を寄せている。

 (問)同キャンパス運営本部0289.74.7900。

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