志田未来さんら、白神山地の将来像考える 青森・弘前市で世界遺産30周年記念シンポジウム

パネルディスカッションで「いつか白神山地に行ってみたい」と笑顔で語った志田さん(右)と小谷知也副知事
マタギの道具などを紹介しながら「先人たちが残した豊かな自然を後世に残していかなければ」と語った工藤さん

 白神山地の世界自然遺産登録30周年を記念した青森県主催のシンポジウムが20日、弘前市の弘前文化センターで開かれた。俳優の志田未来さん、白神マタギ舎(西目屋村)ガイドの工藤茂樹さん、「ディスカバリーチャンネル」などを運営するディスカバリー・ジャパン社長の西ちえこさんらが登壇し、白神山地の価値を次世代にどう伝えていくか-などをテーマにパネルディスカッションした。

 志田さんは深浦町・十二湖の、透き通った群青色で知られる「青池」を交流サイト(SNS)を通じて知り、「すてきな場所。行ってみたい」と思っていたという。このことが縁で県がオファーし、シンポジウムの出席がかなった。

 目屋マタギの父らと山歩きやマタギの生活をし、エコツアーガイドとして活動する工藤さんは、山でのおきてや山菜を必要な分だけ採るなどの作法を紹介。志田さんはマタギの文化や精神性にも関心を寄せた様子で、「山菜を必要な分だけ採るとか、そういう活動が自然を守っている。人がバランスを取って支えていると感じる」と語った。

 工藤さんはマタギが狩りで「山の神様から授かった」クマをあの世へ送る儀式や、クマと数メートルの距離で対峙(たいじ)した際のエピソードも披露。人と自然との共生について「先人たちが残してきた自然は、地球温暖化もあり変化を感じる。山での暮らしは失われつつあるが、若い世代にも伝えていければいい」と語った。

 西さんは世界自然遺産は希少価値が高い上に「観光資源としても大事な財産」と指摘。訪日客への白神のアピールを拡大させるためにアプローチ方法などを工夫する必要があるとし「白神山地が発信していきたいストーリーを考えていく必要がある」と話した。

 このほか、西目屋小学校の児童が、幕末に活躍した弘前市出身の画家・平尾魯仙を題材にした創作劇を発表した。

 シンポジウムには約380人が来場した。

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