静岡県では397集落が『孤立』の恐れ 台風で孤立した静岡市の「水見色地区」はどうだった /能登半島地震の教訓 

地震によって多くの地区が孤立してしまった石川県。少なくとも20以上の地区で3000人以上が孤立状態となりました。実は、能登半島地震のように、静岡県内でも“孤立集落”になり得る地域は数多く存在しています。

中心部から車で30分 台風で孤立した静岡市の水見色地区

栗田麻理アナウンサー:「静岡市の中心市街地から車で30分ほど来た場所です。この先に水見色という集落があるのですが、おととしの台風15号直撃の時には、こちらの道路が崩落してしまい、一時孤立状態となりました」

豊かな自然に囲まれた、オクシズの水見色地区。おととしの台風15号の際には、市街地と集落を結ぶ道路が大雨によって崩落し、一時孤立状態となりました。現在は道路が修繕され、通常通りに車の往来が可能となっていますが、もし、地震などで道路が再び崩落してしまうと、“孤立集落”となってしまうことも危惧されています。

大規模地震で孤立が予想されるのは397集落

県によると、去年3月時点で大規模地震が発生し、道路の崩落や津波浸水が発生した場合、孤立すると考えられている集落は397地区だといいます。地域別では、中部が162と県内で一番多くなっていて、続いて東部で109、西部で82、伊豆半島(賀茂)で44となっています。また、397の孤立集落のうち、ヘリコプターが着陸できる集落は半分以下の153地区しかありません。

「能登半島地震は他人事ではない」

台風で“孤立状態”を経験した静岡市の水見色の住民たち。今回の能登半島地震のように、県内でも、大地震が発生した場合、再び“孤立集落”となる可能性について不安の色を隠せません。

地元住民 70代:「ひとごとじゃないなという感じがしている。(今も)台風15号の爪痕で林道が通れなくなっていて、今度はこっち(以前崩壊した道路)が決壊すると、また孤立しちゃうんじゃないかと。(孤立時は)停電もあったりして、孤立すると連絡手段も無くなるので、すごい大変」

「ペットを連れての避難が大変だった」

こちらの女性は、3頭の大型犬を飼っている地元住民。台風15号の際には、ペットを連れての避難が特に大変だったと言います。

地元住民 50代:「意外と人間のものは被災するとすぐ支援していただけるが、ワンちゃんのものはなかなか無い。(台風15号の時は)まだ9月だったので、暑いしエアコンがかからないと大型犬を飼っていると熱中症とかにもなっちゃうので、友人に連絡がとれるところまで、携帯も通じなかったので行って、連絡して、この子たちを引き取りに来てもらって一時避難させた。(能登半島地震は)やはりひとごとではない。孤立経験者としては、地震が来るとわかったら、その前に逃げたいぐらい」

「いざというときは助け合わないと…」

多くの住民が「ひとごとではない」と感じている今回の能登半島地震。台風被害からおよそ1年3カ月が経過し、ようやく日常を取り戻したなかで、孤立に対する不安を感じているのはこちらの施設でも…。

水見色きらく市企業組合 勝山啓子代表理事:「あの後(台風15号後)はやはりイメージ的に悪かったもので、客足はどうしても少なくなった。災害っていつ起こるかわからないというところで、やはり耐震を少しずつでもやっていかなければと思っている」

こちらは、地域で獲れた果物や手作りの加工品などを販売している「水見色きらく市」。おととしの台風15号の際には、この場所に県内外から多くの支援物資が運ばれる拠点となっていました。

水見色きらく市企業組合 勝山啓子代表理事
Q.ここに物資が届けられた?
A.「そうですね。水、ペーパー類、ここ一杯になって、東京や千葉の方から直接トラックで届けてくれた人もいる。食べ物なんかも良くここに届いた。水が一番多くて次に食べ物が多かった」

Q.当時、いろんな不安があったと思うが、今後大地震に向けての備えや不安は?

A.「不安にはなるが、今まで通りみんなで協力しながらなんとか乗り越えていけたらいいなと」

この地域に暮らすのは340人余りのうち、半数以上が65歳以上の高齢者(2023年12月31日時点)。今後、県内でも南海トラフ巨大地震などが危惧されているなか、地域の自治会長も警戒感を強めています。

鈴木敏弘自治会長:「うちは山の中で田舎なので、たぶん救助や支援というのが遅れてしまうと思う。そこは町内のみんなで助け合っていかなければいけないと。昔からお互い助け合いの精神という気持ちはみんな持っているので、そういうところで乗り切っていくしかないのかなと」

(1月17日放送)

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