マクラーレンCEO、2024年F1は混戦になると予想「ハミルトンが8度目のタイトルを獲得しても驚かない」

 マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンは、2024年シーズンにメルセデスが復活を遂げ、ルイス・ハミルトンがF1史上最多となる8回目の世界タイトルをかけて戦うことになっても驚かないと述べている。

 2021年のドライバーズタイトルの行方は、最終戦アブダビGPで当時のF1レースディレクター、マイケル・マシが誤った行動をとったことに左右され、ハミルトンはつかみかけていた8度目のタイトルを逃がす結果になった。それ以来、ハミルトンは、タイトルに挑戦できないどころか、優勝すら挙げられずにいる。メルセデスが、F1が2022年に導入した新たなグラウンドエフェクト・レギュレーションをうまく把握して優れたマシンを作り上げることができなかったためだ。

 2023年のシーズンにメルセデスはマシンコンセプトを変更、それによりW14に改善が見られたものの、依然として圧倒的優位にあるレッドブルに戦いを挑むことはできなかった。

 しかし2024年には状況が変わるかもしれないと、ブラウンは考えている。メルセデスが過去2年の苦境から立ち直り、2024年にはチャンピオンシップを制覇するマシンを作れるようになる可能性があると見ているのだ。

2023年F1第9戦カナダGP ザク・ブラウン(マクラーレン)

 ブラウンは、フェルスタッペンを擁し、過去2シーズンを支配してきたレッドブルに勝つのは簡単なことではないと認めつつも、メルセデスが優れたマシンを作れば、豊富な経験と比類なき才能を持つハミルトンは有力なチャンピオン候補になり得ると確信している。

 ブラウンはマクラーレンの2024年の展望について、「風洞やCFDで見たものを気に入っているので、一歩前進するだろうと感じている」と『Speedcafe』に語った。

「どれぐらいの前進か。レッドブルについての大きな謎は、2024年のマシンに集中するためにいつ(2023年の)マシン開発を止めたのかということだ。それはおそらくかなり早い段階だったと思う。自分たちの位置がどうなるかを把握するためには、エイドリアン・ニューウェイの魔法がどれだけ出てくるのかを見なければならない」

「一方で、メルセデスとフェラーリには必要なものがすべてそろっているし、彼らは素晴らしいチームだ。こうしてここに座っているうちに、突如としてメルセデスが復活し、ルイスに8回目のタイトルを勝ち取らせたとしても驚かないだろう」

「今は非常に競争が激しい。どこかを除外することはできないと思う」

2023年F1第12戦ハンガリーGP スタート

 昨年の夏に包括的な開発プログラムのおかげで好転を遂げた後のマクラーレンは、レッドブルの主要ライバルとして上位争いをし、最終的にF1コンストラクターズ選手権4位でシーズンを終えた。

 ブラウンはチームが今後も上昇を続けると確信しており、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリが引き続き印象的な走りを見せると考えている。

「こうしたドライバーラインアップがあるのは素晴らしいことだ」とブラウンは付け加えた。

「ふたたび世界チャンピオンチームになるために何が必要か考えている。最高のドライバーがふたりいなければならないが、その条件を満たせることには満足していると思う」

 マクラーレンが前回F1コンストラクターズ選手権タイトルを獲得したのは1998年のことだ。ミカ・ハッキネンとデイビッド・クルサードのペアがチームを勝利へと導いた。しかし、直近のドライバーズチャンピオンとしてマクラーレンの歴史にその名を刻んでいるのは、2008年シーズンにタイトルを獲得したハミルトンだ。

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