土浦日大高の甲子園4強、鍵は「自主性」 小菅監督が講演 裏話も 茨城

昨年の土浦日大高の活躍を振り返る小菅勲監督=土浦市城北町

土浦日大高野球部監督、小菅勲さん(57)が18日、茨城県土浦市内のホテルで講演した。昨夏の全国高校野球選手権大会4強と、秋の国体優勝を振り返り、「選手の自主性に任せ、ほとんどサインを出さなかった」などと躍進の裏話を語った。常総学院高や取手二高の監督を務めた恩師、木内幸男さんの在りし日のエピソードにも触れながら、「大事なのは人格」と選手育成の秘策を解説した。

講演会は、同県かすみがうら市内に野球部の練習施設がある縁で、同市商工会が主催した。

小菅さんは、昨夏の甲子園について「非常に優れていたチーム。出会った時から何かやるなと感じた。昨年はほとんどサインを出していない」と説明。必要なサインは生徒が出し、自分の動作はダミーだったと明かした。集中打による逆転勝利が続いたのは、選手を信頼して任せた結果で、「手堅く1点、ではミラクルは起こらない。急激に甲子園で伸びる、成長する。これが野球、指導者の醍醐味(だいごみ)」と振り返った。

指導方針は、毎年選手が入れ替わるチームを比較しないことを心がけるという。選手とのコミュニケーションで大事なのは「会話のキャッチボールと、観察」。指導歴30年の経験を踏まえ、現在のモットーは完璧を求めない「65点主義」。「相手が欲する時に言葉をかける。タイミングを考え、時に言わないことも大事」と、選手が自主的に考えることを求める。

選手との接し方の端々には、1984年夏に全国制覇した取手二高の選手時代から指導を受けた「木内イズム」がにじむ。「木内さんは野球の話ばかりで、いつも茨城弁のあの調子。野球は運、縁、センスと言っていた」

今後の目標については、「全国制覇。全員野球で1人も取りこぼさず、世界一チームを愛し、チームを知っている監督になりたい。(全てを)まねることはできないが、まだまだ木内さんの背中を追いかけないといけない」と語った。

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