魚焼く煙?「いや、火事だ」窓割り消火、鮮やか救助リレー 住民6人が連携、倒れる男性を担ぎ出す 神河

連携して火災現場から高齢男性を救助したとして、消防署長感謝状を受けた神河町越知の住民ら=中播消防署

 火災発生時の初期消火や人命救助に協力したとして、中播消防署は兵庫県神河町越知の住民6人に署長感謝状を贈った。署から離れた地域だが、消防団の活動経験や普段の付き合いを生かし、署員の到着前に連携プレーで消火を完了させた。

 感謝状を受けたのは、横田辰雄さん(59)と、息子の鉄平さん(30)▽藤本利和さん(75)▽竹国敏郎さん(70)▽後藤大作さん(55)▽松原良人さん(50)。

 昨年11月末の午後、横田さんが区の役員会に行くために家を出たところ、近くの60代男性宅の換気扇から煙が出ていた。魚を焼いているだけかとも思ったが、窓をたたいて呼びかけた際に熱が伝わってきたため、火事だと確信。急いで119番をしながら窓を割り、家にいた鉄平さんに消火器を持ってくるよう頼んだ。

 黒煙で目の前もよく見えない中、2人はバケツの水や水道につないだホースで必死に消火。防災無線を聞いて集まった他の4人も消火栓から放水した。火勢が落ち着くと窓から中へ入り、うめき声を頼りに、室内で倒れていた男性を発見して担ぎ出した。男性は気道熱傷の疑いで救急搬送されたが、回復したという。

 「よく知る人だから大事な物を入れたかばんも持ち出してあげた」「2日後まで鼻の中はすすだらけ」と6人は口々に振り返る。横田さんは「声をかけ合い、無事に命を助けられてよかった」。区長の竹国さんは「少子高齢化の進む地域だからこそ、訓練を続け、共助を大切にしたい」と話した。(喜田美咲)

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