「夫婦仲改善」ミッションはビジネス脳で遂行せよ!?“離婚因子”を減らすためのタスク管理術

夫婦のルールを作成・“明文化”することで共通認識を持ち衝突を防ぐ(Ushico / PIXTA)

2023年末、赤西仁&黒木メイサ、安達祐実&カメラマンの桑島智輝、MEGUMI&降谷建志(Dragon Ash)など、結婚時にも世間をにぎわせた“大物カップル”が相次いで離婚を発表した。「離婚は結婚の何倍も大変」と言われる通り、その苦労は桁違い。

離婚にあたっては、家やお金などの共有財産をどう分けるのか、子どもの親権や養育費はどうするかなど夫婦間で話し合いを重ねる必要がある。さらに、離婚理由がどちらかの不貞行為ともなれば、そこに慰謝料の問題も加わることに。夫婦間で話がまとまらないときには、弁護士を代理人に立てたり、調停や裁判になることもある。

こうした離婚の手間を考え、夫婦仲が芳しくない人でも「離婚するほどでは……」と“我慢”する人も多いのではないか。「恋人・夫婦仲相談所」の三松真由美氏に、離婚を選ぶよりも“簡単”に夫婦仲を改善する方法はないか話を聞いた。

「ビジネス」的視点で夫婦仲が改善

──夫婦仲が芳しくないという人に向けて、まず手がけるべき改善策はありますか?

三松真由美(以下、三松):夫婦間のことを細かいところまでルール化して、パワーポイント(パワポ)などで資料をまとめておくといいと思います。たとえば「夫の実家と妻の実家は1年ごとに帰省する」とか「子どものお迎えは何曜日は夫、何曜日は妻。行けない場合は…」とルール化し、それをさらに明文化することで事前に衝突を防ぐことができます。

「恋人・夫婦仲相談所」三松真由美氏

──衝突の機会を「事前に」防ぐのが大切なんですね。

三松:そうですね。資料は、定期的に見直し・更新するといいですよ。特に義母や義父の健康状態に関する情報はマスト。年を重ねると、去年は元気でも今年は歯が痛いとか膝が痛いということもあるかもしれません。歯が痛い義母に草加せんべいなど買っていったら「気が利かないわね」と言われかねません。定期更新でお互いの家族の状態を知っていれば、こういったことも防げます。もっといえば、義実家で「子どもの教育について話が出たら、必ず同席してほしい」とか、お互いにフォローが必要なタイミング も共有できるとよりベストだと思います。

──資料を作ることで、夫婦が共通認識を持てますね。

三松:夫婦のすれ違いの多くは、コミュニケーション不足が原因です。仕事の時のように、「夫婦仲改善」を目標としたルールやアジェンダを作成することで、お互いに同じ目線に立つことができます。仕事を想像すれば分かりやすいですが、口頭で伝えても相手は忘れてしまうものです。だからこそ資料にしたり、文字化して共有するのが大切です。

「まだ仲良し」だけど将来が不安…今からできること

──まだそこまで衝突は多くないけれど、今のうちから離婚因子を減らしておきたいという夫婦にアドバイスはありますか?

三松:これも少しビジネスライクですが、2人で「棚卸し会議」をすることを勧めています。名前の通り夫婦間の出来事を棚卸しする会議です。ワインでも飲みながらゆったりと、夫婦関係の反省点やお互いにモヤモヤしたことなどを5個ずつ言い合うというような時間にします。半年に一度、3か月に一度のルーティン行事にするのがおすすめです。大切なのは、その日だけは何を聞いても怒らないと約束してから話すことですね。

たとえば「実はあの日、君が保育園のお迎えに行けなかったから、大事な会議に出られなくて本当に困ったんだよ」「晩御飯を作っていたのに、突然いらないとだけ連絡があって、悲しかった」など小さなことでいいので、5個ずつ出していくんです。お互いの気持ちが分かるだけでも十分ですが、前向きな改善策が見つかることもあるかもしれません。

あと「棚卸し会議」の時には、嫌だったことだけでなく、良かったことも必ず言ってくださいね。「何でもない日に1個800円のショートケーキを買ってきてくれてうれしかった」とか。それを2人の間で言葉にして意識することで、良好な夫婦関係が続けられると思います。そして悪かったことにも、きちんとフォーカスして繰り返さないようにするのがポイントです。

──そこで、しっかりネクストアクションにつなげていくわけですね。

三松:話さないとお互いの気持ちはわかりませんからね。資料にしたり、言葉にして意識することで夫婦関係はよくなると思います。あと、ご夫婦の関係をよくしたいという方には、「パワポ化」や「棚卸し会議」以外に、「ホワイトボード」の活用もおすすめしています。

“夫婦円満”の秘訣は早めの対策

──どういった活用法でしょうか?

三松:準備はホワイトボードやミニ黒板を冷蔵庫などに貼っておくだけです。そこに「水曜日のごみ出しはお願い」とか「今日のお迎えは私が行く」など事務的な伝言を書きます。さらにそこにプラスして“メッセージ”を書いておくと夫婦関係がうまくいくというものです。実際にこの方法で、夫婦仲が改善したというご夫婦からの報告もあったので、テレビでも紹介しました。

メッセージには「今日もお疲れさま」とか「玄関の掃除をしてくれてありがとう!ピカピカになっていて気持ちいい」など気付いたことや自分の気持ちを書くこと。文字を通してコミュニケーションを増やす作戦です。

──話すのではなくて、文字に残すのは斬新です。

三松:ホワイトボードや黒板なら、温かみのある手書きの文字が残せますよね。時には星や花のイラストを添えてみたり…。決まったフォントのLINEやメールとはまた全然違う良さがあります。

些細なことのようですが、こうした工夫が離婚を回避するという点で役に立ちます。もちろん紹介した方法はどれも「もう別れたい」と思ってからでは遅いです。別れたいと思っていたら、わざわざホワイトボードを買ってくるのすら億劫ですから(笑)。「早めのパブロン♪」ならぬ「早めの夫婦円満術」、風邪と一緒で早めの対策が一番です。

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