長年の自立支援に感謝 故星さんとの思い出語らう 宇都宮でしのぶ会

生前の星さんとの思い出を語る参加者=21日午後1時50分、宇都宮市駒生1丁目

 宇都宮市の認定NPO法人「青少年の自立を支える会」理事長を務め、昨年9月に亡くなった星俊彦(ほしとしひこ)さん(享年69)をしのぶ「星俊彦さんを語る会」が21日、同市駒生1丁目のとちぎ青少年センターで開かれた。児童福祉関係者やかつて支援を受けた人たちが集い、思い出話を披露。虐待や貧困など、困難に直面する子どもに寄り添い続けた星さんに、改めて感謝の思いを伝えた。

 児童養護施設「普恵園」の元職員だった星さんは1997年、同施設の関係者らとともに、支える会を設立した。同年9月、同市内に自立援助ホーム「星の家」を開所。児童養護施設などを出て行き場を失った青少年を、寝食を共にしながら支えた。

 2014年には、里親と子どもが家族のように暮らすファミリーホーム「はなの家」と、経済的に困窮するなどし、家庭で十分な養育を受けられない子どもたちを支える居場所「月の家」を開設した。

 語る会では、月の家に通う子どもたちが「世界に一つだけの花」を歌った。「星さん、月の家をつくってくれて、ありがとう」と声をそろえると、会場は大きな拍手で包まれた。

 その後は、会場内でマイクを回しながら、星さんとのエピソードを紹介した。支える会の設立に携わった同会副理事長の矢野正広(やのまさひろ)さん(61)は「困窮する子どもを地域の中で支える仕組みの走り。これからも地域の中で取り組むことが重要だ」と強調。

 星さんが勤めていた頃、子ども時代に普恵園で生活していた女性(42)は「いつも子どもの中心にいて、リードしてくれた。大好きで大切な人」と話した。

 妻の美帆(みほ)さん(59)は「今はまだ、もっと力になってあげたかったという後悔がある。時間がたって、ありがとうや楽しかったという気持ちになれたらと思う」と前を向いた。

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