耕作放棄地栽培のソバをシリアルに 獣害対策、資金調達にも 那須塩原の青空プロジェクト

シリアルを持つ君島さん

 【那須塩原】塩原地区で獣害対策などに取り組む「青空プロジェクトTHE DAY(ザ・デイ)」が、活動資金を確保するため耕作放棄地で栽培したソバでシリアルを開発し販売を始めた。君島陽一(きみしまよういち)代表理事(42)は「耕作放棄地を活用して、獣害対策と資金調達を行っていきたい」と一石二鳥を狙う。

 君島さんは獣害対策の一環として、トレイルランなどを開催し、動物と人間のすみ分けを図っている。一方、活動資金の確保が課題となっていた。そこで新規事業向けのクラウドファンディングを利用して、シリアルの商品化を進めた。

 商品の原材料となっているソバは、耕作放棄地となっていた中塩原の畑約2万5千平方メートルを再整備して、作付けを行った。動物がすみつく耕作放棄地に手を入れることで、人と動物の距離が確保できるようになり、獣害対策にもつながることが期待される。

 同地区では昔からソバが育てられていたが、近年は減少。生産量を増やし、地域を盛り上げるきっかけにもしていきたい考え。

 シリアルは乾燥させたソバを焙煎(ばいせん)して仕上げた。ソバの実100%で、ソバの風味が直接伝わってくる。そのままでも食べることができる。

 君島さんは「ビターな味わいで単体でもヨーグルトやみそ汁に入れてもおいしく食べられる。手に取ってみてほしい」と呼びかけている。

 「陽一くんちのそばの実シリアル」と名付け、市内の観光施設や宿泊施設で販売している。年間で1万袋の販売を予定。1058円。

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