寒い季節にすべき『犬のお手入れ』2選 冬に注意が必要なポイントやケアのコツを解説

寒い季節にするべき「犬のお手入れ」とは

日本は四季の移り変わりがある国ですが、特に夏場は湿度も気温も高く、温暖化も相まって年々じめじめとした蒸し暑さが厳しい国になってきました。

反対に冬は寒波と雪に閉ざされる地域が多く、一年を通じて温度や湿度の差が大きくなり、人にとっても犬にとっても厳しい環境の国とも言えます。

そんな厳しい環境になりつつある日本では、犬の多くが室内飼育になってきています。昔は一年中外で飼育されることが多かったのですが、近年では「ペットは家族」と考える飼い主さんが増えてきているからでしょう。

しかしその結果『一年中室内で飼育されている犬は、屋外飼育の犬たちに比べて環境適応能力がやや低下している』といわれています。つまり暑さ、寒さへの耐性が低くなっていると考えられます。

更に成犬だけでなく子犬やシニア犬は更に体温調節が上手くないので、冬場のお手入れには少し工夫が必要になっていきます。

そこで今回は、寒い季節にすべき「犬のお手入れ」について解説します。冬に注意が必要なポイントやケアのコツもあわせて紹介しますので、ぜひ確認してみてくださいね。

1.丁寧なブラッシング

犬は暑い夏から涼しい秋が始まると、徐々に抜け毛が多くなります。これは冬の寒い時期に人間が厚着をするように、冬場に暖かい被毛を増やして体を保温するための準備として、夏用の毛が抜けている状態です。

特にダブルコートの犬種の場合は、固めの外側の被毛をかき分けた奥に柔らかいふわふわのアンダーコートをびっしりと生やして、体の表面に空気の層を作り保温をしています。このアンダーコートがあるため、真冬の雪が降っているときでも外で元気に走りまわることができるのです。

しかし、アンダーコートが生えていてもぴったりと肌にはりついていたり、被毛の間に空気が含まれていないと保温効果が激減します。

そのため、冬の間は犬のブラッシングを丁寧にして秋の抜け毛を取り去り、皮膚と外側の被毛の間にしっかりと空気の層を作ってあげることが大切です。空気の層が体温の低下を防ぎ、風邪をひいたり低体温症を防いだりすることに役立ちます。

こうすることにより、犬は寒い冬でも元気よく動き回ることができ、筋肉を維持することができるでしょう。筋肉の維持は代謝の改善や体温の保持につながり、犬たちの健康に欠かせないのです。

2.保湿

人間は、皮膚や粘膜が乾燥することで細菌やウイルスの感染が増加することが知られていますが、犬も同様に、皮膚が乾燥すると体表面の水分が失われやすくなり、刺激に敏感な乾燥肌になってしまいます。

乾燥肌はかゆみをともない、ついつい掻いてしまって傷を作りやすい肌です。傷ができるとそこから細菌感染により炎症を起こしてしまうので、保湿は犬にとっても大切なケアになります。

特に鼻や足裏の肉球はむき出しのため乾燥しやすく、ひび割れ等の怪我を負いやすい部分です。

そのため、お散歩の後はしっかり丁寧に汚れを洗い、保湿クリームでケアしてあげてください。

また、室内の乾燥も、皮膚の乾燥につながります。適度な湿度管理は人間の喉のケアにもなりますし、犬の皮膚の乾燥も防ぎます。お部屋の乾燥が気になるときは、加湿器などグッズを用いても良いかもしれません。

まとめ

冬に気を付けたい「犬のお手入れ」は、実は人間の場合とそれほど変わらないかもしれません。

まずは保温と保湿が基本です。ブラッシングは体表面のマッサージになり、血流アップも見込めます。お散歩前にしっかり丁寧に被毛を梳かして皮膚をマッサージしてあげてください。もともと被毛が薄い、短い犬の場合は衣類で体温調節することも大切です。

鼻や肉球の保湿は人間用のハンドクリームで代用も可能ですが、舐めてしまうことを考えるとちょっと心配。舐めても心配のいらない犬用の保湿クリームを使ってあげましょう。

(獣医師監修:平松育子)

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