奈良大学 「エルトゥールル号」の遺品を保存処理へ

約130年前、和歌山県の沖合で遭難したトルコ軍艦「エルトゥールル号」の遺品を奈良大学が保存処理を行うことになり、20日、遺品が報道陣に公開されました。

トルコ軍艦「エルトゥールル号」は、1890年に嵐に遭い和歌山県串本町の沖合で遭難しました。乗組員500人以上が亡くなりましたが、地元住民の救助や看護で69人が一命を取り留め、以来、今に続く日本とトルコの友好のきっかけになりました。20日、奈良大学では船の遺品が報道陣に公開され、文化財の保存科学が専門の今津節生学長と、トルコの海洋考古学者トゥファン・トゥランルさんが説明しました。保存処理を行う遺品は2007年にトゥランルさんらの調査団が引き上げ、地元・串本町の施設で保管している船の部材の一部などあわせて33点です。

なかでもこの船で唯一現存する木製の滑車は、金属部分の劣化で木材も腐り危険な状態だといいます。奈良大学では菓子などに使われる糖の一種「トレハロース」を使った保存処理を行い、さびの発生や劣化を抑えるといいます。今津学長とトゥランルさんは、「遺品の保存を通してエルトゥールル号とその友好の歴史について若い人に知ってもらいたい」と話しています。

奈良大学 今津節生 学長

「130年前に串本の人たちがトルコの人のためにしてあげたこと。いま我々が、何ができるのかなと思ったら、せっかくトルコの人たちが海から引きあげてくれたんだから、それを我々が手伝って展示できるようにしたいなと思っています」

保存処理はこれから半年ほどかけて行われ、処理の完了後に和歌山県串本町に戻されるということです。

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