「派閥は偽装解散」識者は総理の「裏の狙い」を指摘 自民党“裏金”これで幕引きに?口火を切った安倍派議員は「大寒みそぎ」

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件を受け、安倍派など3つの派閥が解散を決めたことで、静岡県内の国会議員にも波紋が広がっています。

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一見、政治改革につながる動きのように見えますが、派閥の解散は問題をうやむやにするためのパフォーマンスに過ぎないとの指摘もあります。

<自民党 岸田文雄総裁>
「それぞの派閥関係者が自らどのようにけじめをつけるのか、説明責任を果たすのか大変重要」

自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で安倍派など3つの派閥が解散を決めた自民党。1月22日午後には、党の方向性などを話し合う政治刷新本部が開かれ、静岡県内選出の議員も出席しました。

<自民・安倍派座長 塩谷立衆院議員>(1月19日)
「私自身が座長として、もっとできることがあったんだろうと大変深く反省をしているところ」

安倍派の座長を務め、静岡8区が地盤の塩谷立衆議院議員は、裏金事件に関してついに口を開きましたがー

<自民・安倍派座長 塩谷立衆院議員>
「脱税ということでは、そういった意識はございません/議員の辞職の意思はありません」

週末には、塩谷議員は県西部での催しに出席し裏金事件について謝罪。

<記者>「説明はまだされないのでしょうか?」
<塩谷議員>「…」

関係者によりますと塩谷議員は、近く正式に記者会見を開く方針だということです。

同じく週末、天竜川で大寒みそぎを行なったのは、裏金事件の口火を切った安倍派の静岡3区が地盤の宮沢博行衆議院議員です。罪や穢れをはらい心身を清めることはできたのでしょうか。

<自民党・安倍派 宮沢博行衆院議員>
「みそぎから地元の活動を始めさせていただくわけですから、不思議なご縁だなと思います。とにかく出直すつもりで一歩一歩地元で頑張っていき国民の皆様の信頼を回復できるように努力していきたいと思います」

一方、安倍派とともに解散を決めた二階派はー

<自民党・二階派会長 二階俊博衆院議員>
「政治への信頼を取り戻すために志帥会(二階派)を解散するという結論に至った」

そもそも「派閥」は目指す政策が似ている政治家同士の集団ですが、人事や資金などへの影響力が大きいのも実情です。

旧・民主党から無所属を経て自民党に入ったこの人は…

<自民党・二階派 細野豪志衆院議員>
「今、私がこうやって議員やらせていただいてるのも、本当に二階派でお世話になったからですので、非常に残念だという思いが率直にあります」

また、派閥の存在意義として「若手の育成」を挙げる声も。

<自民党・二階派 若林洋平参院議員>
「二階派は国土強靭化や観光立国、私は市長だったので地方創生を考えた時に本当にありがたかったと思った/残念ではある」

今回、派閥の解散を真っ先に宣言したのは岸田派の会長を務めていた岸田総理でした。

<岸田文雄総理>
「政治の信頼回復のために、宏池会(岸田派)を解散するということを申し上げた」

国政に詳しい専門家は、岸田総理の「裏の狙い」を指摘します。

<法政大学大学院 白鳥浩教授>
「政治と金の問題を派閥の問題にすり替えて、自分が1番初めに言うことによって抜け駆けすることができる。当時、裏金を作っていた時にずっと会長だった自分の責任というのもうやむやにできる」

さらに、今回の解散は「根本的な問題解決ではない」と強調します。

<法政大学大学院 白鳥浩教授>
「今回の派閥の解散は偽装解散、つまり形として1回派閥をなくすということになっている危惧もある。政治家側にも責任を負わせる、むしろ事務職だけにトカゲのしっぽ切りのように切っていく在り方は許されない。日本政治の政治と金の構造をというのを変えていく1つの契機にすべき」

派閥の解散で幕引きとしたい考えが透けて見える自民党ですが、そもそも求められていたのは金の流れを明らかにすることで、この問題はまだまだ尾を引きそうです。

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