避難所での宿泊体験会 静岡市の大学生が企画し7組の親子が参加 暖房・電気がない体育館で宿泊体験

能登半島地震の被災地では避難生活が続いています。静岡市では災害への備えを学ぶため避難所の宿泊体験会が開かれました。

能登半島地震の発生からきょうで3週間。

冬の厳しい寒さが続く中、今も多くの人が避難生活を送っていて、体調悪化による災害関連死も懸念されています。

先週、静岡市で避難所に宿泊して災害への備えを学ぶ体験会が開かれ、7組の家族が参加しました。

参加者(ショートカット女性):
「なかなか1人ではこういうこと体験できないので、同じ子育て世代の方も参加するということなので、体験してみたいと思って来ました」

体験会は冬の発災を想定していて、暖房はなく、電気もついていません。

企画したのは、静岡県立大学短期大学部の学生たち。

災害への備えを高めてもらおうと、能登半島地震が起きる前から企画していました。

食事は

電気が使えない状況でも作れる食事を参加者と準備します。

お米と水が入った袋をカセットコンロで沸騰させたお湯に入れて20分…

ふっくらとお米が炊けました。

「ご飯を炊いた後のお湯でレトルトカレーを温めてます」

使える物が限られる中こんな工夫も…

小学5年生:
「食器の代わりに新聞紙でお皿を作ってます」

「震災時に水が使えなくなっちゃうことが多いので、このラップをひいてラップのまま捨てられるようにお皿を再利用できるように」

年長女の子:
「おいしい」

小学6年生女の子:
「とてもおいしいです」

作るのは?

「簡単だった」

台所も使わずこんなに食事がでてくるとは?

小学生6年生男の子:
「ちょっと想定外です」

就寝は

次は寝床の準備です。

段ボールと新聞紙を使って「ベッド」を作ります。

和田佳代子記者:
「空っぽの 段ボールを閉じると、ペコペコしてかなり柔らかいです。
この中に切った段ボールを入れます。こうすることで座っても潰れないくらい強度が増します」

この段ボールをつなげると、ベッドの完成です。

和田佳代子記者:
「こちらが完成した段ボールベットです。実際に寝てみたいと思います。かなりしっかりしていて寝心地はいいです。体育館の床がかなり冷たいが、高さがあることで寒さ対策にもつながっている」

さらに新聞紙をクシャクシャと丸めると枕が完成。

これで寝る準備はできました。

しかし・・・

午後10時を過ぎても、子どもたちはなかなか寝付けない様子。

夜が更けるにつれ、気温も下がっていきます。

和田佳代子記者:
「午後11時半すぎです。気温は11.9度とかなり冷えこんでいます。こちらの体育館では参加者の多くが、床にマットレスを敷いて寝ています。なかなか寝付けないのか何度も寝返りを打つ人の姿もみられます」

「今からこちらの段ボールベットで寝ようと思います」

(暗い体育館&静寂)

課題は

そして、翌朝。

和田佳代子記者
「昨夜はこちらの段ボールベットで寝ました。安定感があり、硬くて冷たい床で寝るよりは寒さを感じづらくかなり快適に過ごせました。ただ、雨の音や寒さで何度か目が覚めました」

小学5年生:
「枕が固いし途中からだんだん寒くなったので寝づらかった」

参加者の多くが気になったのは、周囲からの目でした。

母親:
「夜目が覚めた時に音がすごく気になる。真っ暗だから起きているのか寝ているのかわからないし、音を立てるとみんなに迷惑かかっちゃうんじゃないかなと気になる」

こちらの女性は、大勢の子どもを連れて避難所生活する難しさを感じたといいます。

「子どもが多いので、1人がトイレって言った時に避難所だとみんなを
連れて行かないといけないなって思って、実際1人で置いておくのは怖いじゃないですか。夜寝てるときにトイレって言われても困るなとか」

災害時には断水や停電でもっと不自由な環境になる・・

学生たちも体験会を開いて足りないものや気付けないことがたくさんあると感じたようです。

© 静岡朝日テレビ