【能登半島地震】熊本地震で被災の陶芸家ら、輪島塗の職人支援へ 横浜の小学校で授業「自分たちが恩返しする番」

輪島塗の漆器を紹介する小川教諭(右)の話を聞く太田黒さん(左から2人目)=22日、横浜市立秋葉小

 震度7を観測した能登半島地震で、大きな被害を受けた石川県輪島市の伝統工芸「輪島塗」の職人を支援しようと、熊本県の陶芸家らが動き始めた。熊本地震が起きた際、職人たちは「金継(きんつ)ぎ」などの伝統技術で壊れた陶器を修復してくれた。「今度は自分たちが恩返しをする番」。22日に横浜市内の小学校で行われた特別授業で、メンバーの1人がこれまでの経緯やよみがえった作品を紹介、職人たちへの思いも語った。
 
 市立秋葉小(同市戸塚区)で特別授業を行ったのは、熊本県山鹿市出身の映像カメラマン太田黒哲(あきら)さん(43)=横浜市西区在住。同級生で陶芸家の五嶋竜也さんが熊本地震で被災したのを契機に、「KUMAMOTO UTSUWA REBORN PROJECT(KURP)」を立ち上げた。

 KURPでは、割れてしまった陶芸家5人の作品の陶片を集め、漆と金粉を使う修復の技法「金継ぎ」などを生かし、新たな器によみがえらせている。熊本地震発生後、太田黒さんが輪島の職人たちに協力をお願いしたところ、「『2007年の能登半島地震の時、熊本の人たちが支援してくれた。その恩返しをしたい』と快諾してくれた」。インターネットで集めた約1400万円を元手に、これまでに四つの作品を制作した。中でも、茶わんに生まれ変わった「繕桜(よしざくら)」は、壊滅的な被害を受けた熊本城に咲く桜が描かれ、プロジェクトを象徴する作品に仕上がった。

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