中国海軍の次世代フリゲートが海上試験を開始

By Kosuke Takahashi

中国海軍の次世代の054B型フリゲート(ネイバルニュースのサイトをキャプチャー)

中国海軍の次世代フリゲートである「054B型フリゲート」が海上試験を開始した。この艦は5カ月前に進水したばかりだが、就役に向けた動きが本格化している。世界の海軍専門ニュース「ネイバルニュース」や中国共産党系国際ニュース「グローバルタイムズ」(環球時報)をはじめ、中国内外のメディアが報じた。

中国のソーシャルメディアで広まった写真によると、中国人民解放軍海軍(PLAN)の054B型フリゲートの1番艦が、建造場所である上海市の滬東中華造船近くの黄浦江を航行した。撮影日時は分かっていない。

この新型フリゲートは昨年8月26日に上海の滬東中華廠で進水した。前級の054A型(江凱II型)フリゲートの後継艦で、054A型よりも大型の高速艦となっている。

054B型の満載排水量は約6000トンと推定され、全長は約147メートル、全幅は18メートル。054A型の満載排水量4000トン、全長134メートル、全幅15メートルと比べ、ぐっと大型化している。

054A型よりも、054B型の船体はレーダーなどに映りにくいステルス性を強く意識している。主な兵装は32セルのミサイル垂直発射システム(VLS)、054A型の76ミリ砲に代わる100ミリ砲、1130型近接防空システム(CIWS)1基、HQ-10ミサイルCIWSなどとなっている。同艦は複合動力システムを備える。

既に就役中の中国海軍の054A型(江凱II型)フリゲート(米議会調査局報告書より)

環球時報は「054B型フリゲートは、中国を防衛する任務において人民解放軍海軍の現在の主力艦である054A型の後継となることが期待されている」と述べている。

香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は2021年1月、中国の軍事専門誌を引用し、中国の主要な海軍請負業者である中国船舶集団が、054B型フリゲート約20隻の注文を受けていると報じた。

中国は「遼寧」「山東」に次ぐ3隻目の空母「福建」の初の試験航海が間近といわれる。江凱II型フリゲートの能力向上型である054B型や055型ステルス駆逐艦は、これらの空母を護衛する任務に当たるとみられる。

SCMPの記事は「中国政府は、中東からインド洋と南シナ海の公海に伸びる石油供給ラインを守るために海軍艦隊を必要としている」と指摘している。

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