国宝・十二神将モチーフの「かな書」 書道家・川代健次郎さん、奈良の新薬師寺に奉納

十二神将をモチーフにした「かな書道」の作品を奉納した川代さん(右)と中田住職=22日、奈良市高畑町の新薬師寺

 奈良県出身のかな書道家、川代健次郎さん(37)が十二神将をモチーフにした「かな細字折帖(おりちょう)」の作品を22日、奈良市高畑町の新薬師寺(中田定観住職)へ奉納した。

 川代さんは母の指導で幼少よりかな書道を始め、2019年から書家の吉川美恵子奈良教育大学名誉教授に師事。現在は書道講師を務めながら奈良市内などで書道教室を主宰している。洋画やクラッシックの音符、映画などさまざまな芸術と「かな書道」を絡めた作品を多く制作する川代さんが、何度も参拝に訪れている新薬師寺の仏像をモチーフにしたいと思ったことがきっかけで出来上がったという。

 今回奉納したのは第10回日展の書部門入選作品。同寺の国宝、十二神将立像(奈良時代)の干支(えと)と語呂合わせの言葉を含む万葉集12首を干支にちなんだ色を用いた12枚の料紙に書いたもの。ダイナミックな十二神将の両手の位置にならって、文字の高さなどの散らし書きを構成した繊細で美しい川代さんオリジナルの書だ。入選が決まり、中田住職に奉納を申し出た。中田住職は「素晴らしいアイデア。新しい試みで新薬師寺を見つけて頂きありがたい」と感謝を述べた。

 この日は、十二神将立像が安置されている本堂で奉納の法要が行われた。川代さんは「大好きな新薬師寺と接点を持つことができてうれしく思う。かな書道を知ってもらえる機会になれば」と話した。

 奉納作品は28日に一日限定で同寺庫裡(くり)の座敷で公開される。

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