「コーナン」が反転 3期ぶりに増収増益に 買収も寄与

コーナン商事の神戸近郊の店舗

ホームセンター業界3位のコーナン商事<7516>が2024年2月期に、2021年2月期以来3期ぶりに、増収営業増益となる見通しが高まってきた。

同社が2024年1月11日に発表した2024年2月期第3四半期の業績が好調だったため、通期の業績が予想通りに着地する公算が高まったのだ。

2023年6月にホームインプルーブメントひろせ(大分市)を子会社化したことで、売上高と利益が上振れしたこともプラスに働いた。

業界2位のDCMホールディングス<3050>も業績を伸ばしており、ホームセンター業界はコロナ禍が薄らぐことで生じた巣ごもり需要の反動減の影響から脱しつつあるといえそうだ。

既存店は1%強の伸び

コーナンの2024年2月期第3四半期の売上高は7.6%増加し、営業利益も13.7%増えた。既存店の2023年3月から11月までの売上高が前年同月比1%強の伸びとなり、全店では新規出店(22店出店、3店閉店)と子会社化したホームインプルーブメントひろせの32店舗が加わったことで、9%近い伸びとなったことから増収増益を達成した。

この結果、通期予想である売上高4704億5000万円(前年度比7.2%増)、営業利益229億円(同4.0%増)の達成の可能性が高まった。

同社は2021年2月期に巣ごもり需要の拡大により、工具や金物、建材、日用品、薬品などが好調に推移し、18.0%の増収、54.1%の営業増益を達成したものの、その後は巣ごもり需要の反動減などにより、減収減益に転じていた。

2024/2は予想

子会社化で業績を上方修正

ホームインプルーブメントひろせの子会社化の影響については、2023年10月に行った業績予想の上方修正で、売上高を172億5000万円、営業利益を1億円引き上げた。

同社は2019年にプロ顧客向け会員制建築資材卸売店舗「建デポ」を運営する建デポ(当時の売上高は337億円)を子会社化したのに続き、2020年にホームセンターのドイトからホームセンター事業とリフォーム事業(当時の当該部門の売上高は148億円)を取得。

さらに2021年にパナソニック傘下で住宅リフォーム工事などのパナソニックプロイエサービスから住宅設備維持修繕事業の一部(当時の当該部門の売上高は非公表)を譲り受け、業容を拡大してきた経緯がある。

ホームセンターの成長にM&Aが一役

ホームセンター業界は、コロナ禍需要の減少や原材料費、物流費、光熱費、人件費などの上昇の影響を受け、先行き不透明な経営環境下にあるものの、コロナ禍前の状況に近付きつつある。

DCMはホームセンター中堅のケーヨーの子会社化によって、2024年2月期の当期利益が過去最高を更新する見込みで、業界最大手のカインズも2022年に、DIYを中心に家具、日用品、生活雑貨などを取り扱う東急ハンズ(当時の売上高は631億円)を子会社化し、規模を拡大した。

コロナ禍の影響が薄らぎ日常が戻ってくる中、ホームセンターの今後の成長にM&Aが果たす役割は小さくなさそうだ。

文:M&A Online

M&A Online

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。

© 株式会社ストライク