代理寄付広がる ふるさと納税 茨城県内10自治体参加 能登地震

代理寄付を実施しているふるさとチョイスのホームページ

能登半島地震の被災地支援で、被災自治体に寄せられるふるさと納税の事務を肩代わりする「代理寄付」の動きが広がっている。ふるさと納税の仲介サイトが受け付けており、茨城県内は都道府県別で最多の10自治体が実施。一部サイトでは被災自治体に対する支援の8割近くが代理自治体に寄せられている。

ふるさと納税の代理寄付は、寄付者の税控除に必要な書類発行などの事務手続きを被災地以外の自治体が代行する仕組み。被災自治体の事務負担を軽減するのが狙い。

代理寄付を全国で最初に始めたのは茨城県境町。町は2015年9月の関東・東北豪雨で町内の広範囲が浸水した際、ふるさと納税で約2000万円が寄付された。町によると、寄付金は復興に役立てられた半面、復興事業に必要な人員が納税証明書発行などの事務手続きに割かれたという。

このため、町は16年4月の熊本地震の発生を受け、被災自治体の事務負担軽減策に関し、仲介サイトの運営会社に打診。町が被災自治体の事務手続き代行に乗り出したことで、代理寄付の仕組みが生まれた。

町がこれまでに実施した代理寄付は22件。今回の能登半島地震では、発生翌日の2日に石川県の輪島市と珠洲市、3日に同県の代理寄付を開始した。22日午後5時現在、「ふるさとチョイス」「ふるなび」の両サイトの代理寄付で約2万件、計3億6000万円を超える寄付が集まっている。

ふるさとチョイスの運営会社によると、同日正午現在、全107の自治体が、被災した33自治体の代理寄付を実施。このうち、県内では桜川市や行方市など、全国最多の10自治体が参加している。

代理寄付について、同社広報は「寄付者にも被災自治体側の負担を減らせる方法として理解が広がっている」としている。

桜川市は、石川県金沢、輪島、加賀の3市の代理寄付を実施。3市がいずれも重要伝統的建造物群保存地区を有し、連携して町並みの保存・活用の取り組みを行っている縁で支援を決めたという。桜川市の担当者は「3市職員の負担を少しでも減らせれば」と話した。

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