風力発電の訓練施設完成 ウィンド・パワー 4月に本格稼働 茨城・神栖

式典であいさつするウィンド・パワー・グループの小松﨑衞社長=神栖市南浜

風力発電のウィンド・パワー・グループ(茨城県神栖市南浜、小松﨑衞社長)は22日、洋上風力発電施設の保守点検や緊急時対応の人材を育成する総合訓練施設「ウィンド・パワー・トレーニングセンター」(同)を関係者に公開した。完成式典には関係者約120人が出席し、施設設備を使った訓練のデモンストレーションが披露された。施設は今月プレオープンし、4月から本格稼働を予定する。

施設は敷地面積約3900平方メートル、延べ床面積約1100平方メートル。風力発電施設の高所作業を想定したはしごや、洋上でのメンテナンス、緊急時を想定したプールを備える。

式典のあいさつで、小松﨑社長は施設を鹿島臨海部に開設することに触れ、「より多くの人材育成や雇用の創出、地域の活性化に貢献できると確信している」と見通しを示した。来賓として出席した額賀福志郎衆議院議長は「日本の最大の弱点はエネルギーであり、安定的に供給することは永遠の課題。それぞれの分野で皆さんと共に頑張っていきたい」と呼びかけた。

地元の石田進神栖市長は「新たな観光資源として地域の宝にしたい」と話し、世界風力エネルギー学会副会長の荒川忠一東大名誉教授は「国際的なネットワークによってトレーニングセンターが発展していくことを期待している」と、それぞれ祝いの言葉を述べた。

施設の紹介を兼ねた訓練の実演では、高所での作業中に事故などが発生した場合の避難対応として、設備を使った緊急降下を実施。同社従業員が高い位置からロープをつたって迅速に降りる様子を披露した。このほか水深3メートルのプールを使用し、海上を想定して海に飛び込んだ際に発見されやすように1カ所に集まる訓練を行った。

インストラクターを務める土屋周作さん(27)は「首都圏という地の利を生かし、多くの人が受講してくれると思うので、しっかりと教えていきたい」と意気込みを語った。

式典では完成した施設の設備を使った降下訓練などが披露された=神栖市南浜

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