「黄色い帽子」デザイン統一 新1年生に贈呈 男女ともハット型に JA共済連茨城

新1年生に配られる黄色い帽子を紹介するJA共済連茨城の飯田高久本部長(右)と職員の増子きみ江さん=水戸市梅香

登下校時に児童がかぶる黄色の交通安全帽子を半世紀近く無償提供してきたJA共済連茨城(茨城県水戸市)は、今春入学する県内の新1年生を対象に、ジェンダーレス化した男女同一デザインの帽子2万3000個を贈る。野球帽型の男子用と、リボンの付いたハット型の女子用を廃止し、ハット型に統一した。共済連の飯田高久同本部長(61)は「安全性が高まり後ろ姿も目立つ。新1年生に喜んでもらえたらうれしい」と話す。

■延べ166万個配布

県警のまとめによると、2023年は県内で児童の登下校中の死亡事故はなかったものの、交通事故死者数は93人と全国ワースト10位。過去10年をさかのぼっても茨城県は、交通事故死者数が全国で上位を占めている。

児童の登下校中の安全を守るため、共済連は1976年度から毎年度、黄色い帽子の贈呈を継続。これまでに延べ約166万1000個を配布した。

■調査結果生かす

ランドセルのジェンダーレス化などが進む中、共済連は2022年、黄色い帽子について県内の小学校にアンケートを実施。ジェンダーに関して「男女共用がありがたい」「男女別の形は、違和感を感じる児童も出てきている」などの意見が寄せられた。

さらに23年6月、共済連の要望を受け、県ダイバーシティ推進センター「ぽらりす」(水戸市)が、44市町村に対し、デザイン変更についてのアンケートを実施した。従来の帽子を支持するものや選択制の導入を求める意見があったものの、「デザインを変更することに対しては44市町村すべてが賛成だった」(同センター)という。

新デザインは、リボンのないシンプルなハット型。素材はポリエステル100%から、ポリエステルと綿の混合の新素材に変更、軽量化され、通気性がよくなった。共済連から帽子の受注を受けた佐藤商事(東京都)の松本修一営業課長(59)は「ハット型にすることで、首の日焼けを防止する効果もある」と他のメリットも挙げた。

新デザインの黄色い帽子は2月29日、県に寄贈される。

これまでのリボンが付いた女子用(右)と男子用の帽子

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