会社員も副業で税金対策ができる!?副業解禁時代に知っておきたいその仕組みと方法を解説!

INDEX

副業を始めてみたい……! そう考えている会社員の方は多いのではないでしょうか?

政府主導の働き方改革で推奨されていることを背景に、副業を解禁する企業は徐々に増えてきています。2018年には厚生労働省作成のモデル就業規則にも副業を前提とした規定が盛り込まれました。

さて、副業には本業外の収入が得られるほかに、節税のメリットもあるということをご存知ですか?上手に活用することで副業のメリットは何倍にも高まります。

この記事で副業が生み出す節税効果とその具体的な方法を押さえておきましょう。

副業で節税できる仕組みとは?

副業で節税できるのは、“副業で出た赤字を本業の課税所得から引くことができる”からです。それにより、所得税と住民税を減らすことができます。

所得税・住民税ともに計算の基本的な流れは以下の通り。

1. すべての所得を合算する 2. 合算した所得から控除額をマイナスし、課税所得を導き出す 3. 「課税所得×税率」で税金の額を導き出す

すなわち課税所得が少なければ税金の額も減ることになります。例えば本業の所得が50万円で、副業の所得が80万円の赤字であれば、その時点で課税所得はマイナス。所得税は発生せず、住民税も大きく節税できます。

「赤字が出るなら結局損じゃないの?」と疑問に思われるかもしれません。しかし、副業の所得は「売上-経費」で導き出されます。そして、家賃や電気代、食事代などさまざまな出費が、副業のために使ったと証明できれば経費として計上できます。どのみち生活や趣味・自己投資に使っていたお金であれば使った分だけ得したのと同じですよね。

副業が黒字化すればこの手は使えませんが、その場合は収益が得られるのでいずれにせよ家計が潤うことには変わりません。

家賃、マイカー、広告費……経費にできる出費まとめ

副業のために使ったお金を経費とするためには、以下の3条件を満たす必要があります。

  • 自分で使ったお金である
  • 事業のために使っている
  • 領収書がある

「どこまでの範囲が事業のために使っているといえるのだろう? 」と疑問に思う方は多いでしょう。それは事業の種類や個々人の働き方によって異なるため一概には言えません。正確な回答は税理士もしくは税務署に問い合わせて確認すべきです。

ただし、通常経費として認められる出費の例をおおまかにでも押さえておくことは損をしないために重要です。ここでは副業の経費の例を5つご紹介します。

【1】家賃

自宅を副業の作業場としている場合、家賃全体のうち仕事に使用しているスペースの分が経費として認められます。このような生活費と重なるところのある経費を家事按分といい、例えば60㎡の家のうち20㎡ほどのスペースを作業用に使用している場合家賃の3分の1が経費となります。もちろん自宅以外に仕事場を借りている場合は家賃全部が経費でOKです。

【2】水道光熱費・通信費

自宅の水道光熱費やWi-Fi料金、携帯電話の使用料も家賃と同じく副業に使用している分だけが経費となります。ただし、水道代、ガス代については料理教室を営んでいるといった場合でない限り経費にできる範囲は仕事中のトイレにかかった水道代などごく一部にとどまるはずです。電気代や通信費は使用時間をもとに計算されることが多いです。電気代の場合は事業に使っているコンセントの数で計算されることもあります。

【3】マイカー・パソコン・カメラ・スマホ本体など

マイカー、パソコン、カメラ、スマホ本体なども業務に使用する分は経費にできます。どれほどの割合が事業分になるかは使用頻度をもとに割り出しましょう。付随するガソリン代、保険代、修繕費なども業務に使用する範囲は経費にできます。

【4】勉強用の本・雑誌・新聞・セミナー代金

業務に使う知識を取得するために使った書籍の代金やセミナー受講料は全額経費にできます。また、セミナー後に知識を深めるために参加した同業者との飲み会代金なども接待交際費として経費にすることができます。

当然ながら事業に関係のない書籍の購入代金やただの友人との飲み会代金を経費にすると脱税です。バレれば後から過少申告加算税や重加算税が課されかえって損をすることになるので気をつけましょう。

【5】名刺・チラシの印刷代金

事業で使う用の名刺やチラシを印刷した場合、それらに使ったお金は全額経費とすることが出来ます。名刺の場合は消耗品費、チラシの場合は広告宣伝費などとして処理されます(区分は使用用途などにより異なる場合があります。)来年の事業に用いるチラシ代金も以下の条件を満たせば今年の広告宣伝費として処理できます。

  • 広告宣伝を行う時期がその年にかかっている
  • 今年中に代金を支払う
  • 広告宣伝期間は1年以内
  • 広告宣伝の内容・質・量が変わらない
  • 毎年2年にまたがった内の1年目の経費とする

副業の節税で注意すべき3ポイント

会社員が副業で税金対策する方法について見てきました。最後に注意すべきポイントを3つご紹介します。

事業所得と主張できる材料が必要

サラリーマンの副業で多いWeb記事のライティングやイラスト作成、アフィリエイトブログの運用。そこから得たお金は事業所得もしくは雑所得のいずれかに分類されます。そして雑所得とされた場合は節税に利用できません

そうならないためには副業が事業として成立していることを証明する材料が必要です。

  • 経費や労力を費やしている
  • 売上をあげている
  • 継続的に行われている

自身の副業が上記のような条件を満たすと論理的に説明できる体制を整えておきましょう。

節税目的なら青色申告がベスト

確定申告には詳細な青色申告と簡易的な白色申告の2種類があります。どちらを選ぶのも自由ですが、節税メリットを享受したいなら青色申告にすべきです。

青色申告であれば、最大65万円の青色申告特別控除が受けられるため所得を大きく押さえられますし、赤字を3年間繰越せます。複式簿記の知識が必要なことから従来は敬遠されることも多かった青色申告ですが、最近は処理を簡単にしてくれるソフトも充実しています。

高価なものを買うと減価償却が必要になる

白色申告の場合10万円、青色申告の場合30万円を超える高価なパソコンや車などを購入した場合、減価償却が必要になります。減価償却とは、購入した商品が数年かけて消費されるとして毎年経費を計上すること。減価償却になってもトータルで損をすることはありませんが会計処理が面倒になります。

ここでもやはり減価償却のラインが高い青色申告が個人事業主にとって有利だといえるでしょう。

終わりに

サラリーマンでもできる節税テクニックとして副業を利用した方法をご紹介しました。

節税以外にもスキルアップや人脈の広がりなど副業のメリットはさまざまです。副業・兼業を推進している企業は2018年時点で全体の28.8%リクルートキャリア調べ)とまだ多くはありませんが、一年で5.9%増加と追い風が吹いてきていることは事実です。

いつか副業を始める日のために今から知識を収集しておきましょう!

参考URL

モデル就業規則について┃厚生労働省
副業サラリーマンは税金対策に強くなろう~確実にマスターする方法~┃nomad journal
副業解禁! 副業したらかかる税金の解説&賢く節税する方法┃税理士ドットコム
友人とのワリカン飲み会で「レシート」持ち帰る自営業者、経費計上しても大丈夫?┃税理士ドットコム
事業所得になる副業と雑所得になる副業は何が異なるのか┃freee
【訂正版】兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)┃リクルートキャリア

宮田文机

© ウイングアーク1st株式会社