「痩せる薬」品薄状態で一時、現場に混乱も 糖尿病患者用の薬、保険適用広がればブームに!? リスクも考慮を

近年、海外で開発・発売された画期的な肥満治療向けの薬が、日本の医療機関で混乱を招いているという。国内では、糖尿病患者向けとして保険適用されている薬だが、オンライン診療でも処方可能であることから、一部の美意識の高い人々がダイエットを目的に“買い占め”状態となり、薬の品薄状態が発生。本来の目的である糖尿病患者に行き渡らない現象となり、メディアでも取り上げられる事態となっている。一体、この薬とはどのようなものなのか。大阪のダイエット外来もあるクリニックに勤務する、看護師の木村さん(仮名)に話を聞いた。

今若い世代を中心に服用されている糖尿病患者用の薬。リスクも数多いという・・・

3カ月で10kgも痩せたという話も

まずは、この薬の内容について聞いた。

「食後の血糖値の上昇をおさえることで、食欲を抑制させる錠剤のリベルサスと、注射薬のオゼンピックという薬です。昨年、糖尿病患者さんのための処方箋薬として発売になってからは、体重減少に目覚ましい効果があると評判で一気に口コミで噂が広がりました。他院の話では、オンライン診療を使って、糖尿病であると申告し入手する人が多いと聞きました。当院で処方した糖尿病の方の話によると、3カ月で10kgも痩せた人もいますね」

現在、発生している品薄状態については、「一時期、本当に薬が届かない状態が続き、糖尿病患者さんに処方ができないときには困りました」という。また、次に予想される状況については、このような話を紹介してくれた。

「正式に肥満症の治療薬として、厚生省認可の保険適用内にて処方可能となります。いずれ錠剤も認可されるはずなので、大きなブームになるのではないでしょうか」

木村さんは「痩せ薬」のリスクについて、次のように忠告する。

「量を少しでも誤ると、低血糖になり失神昏睡して危険な状態に至るケースもあります。そのリスクをしっかりと知ってほしい。リスクのない薬は絶対にないので、適切な運動や食事制限をうまく組み合わせることで、健康に痩せることが大切です」

痩せるための薬は、製薬会社の中で激しい競争を繰り広げ、今も研究開発がされているという。いつか、もっと効果がある薬も出てくるだろう。そのときは、クスリはリスクと隣り合わせであることを肝に銘じることが大切になってくるだろう。

(よろず~ニュース特約・四十八願 新豆)

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