映画編集者・クラブDJの肩書も持つ主演リヨ・ゴン来日決定 植物学者演じる本編映像も公開 「Here」

2024年2月2日より劇場公開される、ベルギーの映画監督であるバス・ドゥヴォス監督作「Here」に主演するリヨ・ゴンの来日が決まり、リヨ・ゴンが出演するシーンの本編映像の一部が公開された。

公開された本編映像の一部分では、リヨ・ゴンが植物学者として研究し、学生のプレゼンテーションを聞く場面のほか、叔母(おば)の経営する中華料理店でもうひとりの主人公である建設労働者のシュテファンと出会うシーン、森でシュテファンと再会するシーンの一部が収められている。

リヨ・ゴンが演じたシュシュという女性は、植物学者(蘚苔学者)として苔を研究しているという役どころ。シュシュ同様にブリュッセル在住の中国系ベルギー人であるリヨ・ゴンは、多民族・多文化の共生を作品のテーマの一つにした「Here」を象徴するような人物のひとりとして登場する。

長編映画の主演は「Here」が初めてとなるリヨ・ゴン。ブリュッセルの著名な国立映画・演劇学校INSASで映画編集の学士号を取得した経歴を持ち、映画編集者としての顔も持っている。日本公開された作品では、アラン・ゴミス監督「わたしは、幸福(フェリシテ)」でシンクロナイゼーション・エディター(同期編集)を務めたほか、2024年春公開予定のワン・ビン監督「青春」ではアシスタント・エディターとしてもクレジットされている。また、音楽家を両親に持ち、クラブDJとしても才能を発揮している。

リヨ・ゴンは、バス・ドゥヴォス監督とともに、「Here」「ゴースト・トロピック」の公開初日にあわせて来日し、2月2日・3日・6日にはBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下での上映後トークイベントに登壇。また、2月4日は沖縄の桜坂劇場にて上映後トークを行う予定となっている。

「Here」は、ブリュッセルに住む建設労働者のシュテファンと、中国系ベルギー人で植物学者のシュシュの2人が主人公の作品。アパートを引き払い故郷のルーマニアに帰国するか悩んでいるシュテファンは、お別れの贈り物として、姉や友人たちに冷蔵庫の残り物で作ったスープを配ってまわる。ある日、森を散歩中に以前レストランで出会った女性のシュシュと再会し、そこで初めて彼女が苔(こけ)の研究者であること知る。シュシュに促されて、初めて意識し見つめたのは、足元に広がる多様で親密な世界だった。そして、2人の心はゆっくりとつながってゆく。

2014年に長編第1作を発表して以来、わずか数年でベルリン、カンヌをはじめとする映画祭から注目を集めているベルギーのバス・ドゥヴォス監督。1983年生まれのドゥヴォス監督は、これまでに長編4作品を監督。いずれも多言語・多文化が共生し”ヨーロッパの縮図”とも言われるベルギーにおいて、見落とされてしまうささいな日常の断片をすくい上げて描いている。16ミリフィルムによるスタンダードサイズの映像、他にはないサウンドスケープを響かせるギター、ゆるやかに展開してゆく物語によって、普段は見落としがちな、人のさりげない優しさや思いやりに気づかせてくれる映画を撮り続けている。

【作品情報】
Here
2024年2月2日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国ロードショー
配給:サニーフィルム
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