HRテクノロジーはここまで進化している! 『次世代採用選考プロセス実現のためのテクノロジー&サイエンスの活用アプローチ』イベントレポート

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2019年6月27日、住友不動産六本木グランドタワー36Fのウイングアーク1st株式会社コラボレーションエリアにて『次世代採用選考プロセス実現のためのテクノロジー&サイエンスの活用アプローチ』セミナーが開かれました。

登壇者はHRテクノロジーまたはデータ活用の最前線で活躍する以下の5名。

本記事では、イベントの全貌をレポート。世界・日本のHRテクノロジーについて俯瞰した上で、映像・ゲーム・コーディングなどさまざまな形で人材を評価する次世代面接プラットフォーム「HireVue」について解説し、次世代の面接・採用システムと採用におけるデータ活用の可能性に触れた約3時間のセミナーから抜粋した内容をお届けします。

令和時代の人材マネジメントには“サイエンス”が加わる

最初の登壇者はタレンタ株式会社 代表取締役社長兼COOの田中義紀氏。

2015年の創業以来、最新テクノロジーをHR業界に導入し続けてきたタレンタ株式会社。そのトップの視点から見た世界・日本のHR市場の潮流が語られました。

毎年ラスベガスで開かれるHRテクノロジーカンファレンスで最新情報をキャッチしてくる田中氏曰く“令和時代の人材マネジメントに加わる要素はサイエンス(心理学やデータサイエンスなどの過去から現在にかけての研究知見”。経験・勘だよりだった昭和から、PC・インターネットが普及した平成にはHRテクノロジーが一般化。令和にはAI/ゲーミフィケーションが導入され、データと人間科学に裏打ちされた採用が始まるといいます。

世界のHRテクノロジーでホットな領域は「ナーチャリング・応募」。接点を獲得した人材との自動的なコンタクトによる関係継続や採用サイト訪問者の属性分析を通して内定者まで育て上げる採用マーケティングの領域です。

同時に進んでいるのが各ソリューションの統合。接点獲得から選考、入社の段階までワンパッケージで提供する企業がどんどん増えているとのこと。世界のトレンドは遠からず日本にも波及します。今のうちにチェックしておきましょう!

次世代の採用プラットフォーム「HireVue」は何を評価し何の役に立つのか?

今回のセミナーの目玉ともいえるのがゲームベースアセスメント(認知能力検査)の第一人者であるHireVue社のClemens Aichholzer氏から直接、次世代の採用プラットフォームHireVueについての講義が受けられることでした。Clemens氏はHireVue社がゲーミフィケーションを取り入れるために買収したMindX社の設立者です。

HireVueが提供できるのは「ビデオ」「ゲーム」「コードビュー」の3つのアセスメント。ビデオは録画面接とAIによる採用リコメンデーションを、ゲームはゲーム形式の認知能力検査を、コードビュー(CodeVue)機能は、候補者のコンピュータプログラミング能力を検査します。これらの3つのアセスメント機能はそれぞれ個別に実行することも、統合的に提供することもできます。

実際の成果はプロセスROIとアウトカムROIという2つの軸で測られており、前者は採用にかかる費用や時間などの生産性を、後者は実際に採用した社員の生産性や定着率に基づいているとClemens氏。さらに、候補者側も採用の過程を従来より楽しめ、また自らの認知能力へのフィードバックレポートを受けられるため満足度が高まるということです。

Clemens氏に続いて登壇したのが産業組織心理学者のTom Cornell氏。

Cornell氏は 「ビデオ」「ゲーム」「コードビュー」という観点はそれぞれ補完しあうことで総合的な人材評価を行えると主張します。人材評価の軸には「対人スキル」「認知能力」「性格や好みなどの個人特性」「技術」の4つがあり、ビデオは「対人スキル」と「性格や好みなどの個人特性」をゲームは「認知能力」をコードビューは「テクニカルスキル」を測ることに適しているというのがその要旨。

前述の軸の中でも、入社後の活躍―どれだけ早く効果的に新しい仕事を学べるか―に最も関わる認知能力を最重要視すべきだとCornell氏。HireVueのゲームベースアセスメント(GBA)は認知能力を適切に判定でき、操作性や受験者の反応も上々。新入社員だけでなく社内登用やエグゼクティブの評価にも活用できるということです。

Cornell氏が行うHireVueのデモを目の当たりにして印象に残ったのは、ゲーム形式の認知能力検査のユニークさとAIによる入社後の活躍予測の採用に対するインパクトです。従来採用選考に使われてきたSPIや適性検査と操作の形式自体は似通っていましたが、HireVueでは段違いに幅広い能力を確かめ正確に人物を評価できると考えられます。

通年化・多様化する人材環境に対応するためにできることとは?

第3パートの登壇者はタレンタ株式会社のセールス&マーケティングマネジャー鈴木善幸氏。日本の人材採用の変化に対応するために何が必要なのか、そのために具体的にHireVueはどう使えるのかが語られました。

経団連ルールの廃止、新卒一括採用の見直し、就活マナーの変化など日本の人材採用は通年化、多様化の方向へ突き進んでいます。変化に対応するために必要だと鈴木氏が挙げるのが以下の5ポイント。

1. 人事・採用のデジタルトランスフォーメーション推進 2. ES廃止・代替による候補者負担軽減(候補者本位・学業優先) 3. 選考品質の向上(構造化面接による属人的評価の抑制) 4. 採用通年化に向けたリソースの最適化(一時期集中の緩和) 5. 地方学生・海外学生の物理的な距離格差の是正

続けてそれぞれの課題に対するHireVueの活用方法が語られました。例えば、インターンシップでは録画面接により距離にかかわらず地方大生、海外大生を選考可能。その際のデータを本選考に生かすことでより採用の質を高められます。また、GD(グループディスカッション)や初期の対面面接を録画面接に置き換えることで工数削減と採用データの取得・管理の容易化が可能になるとのこと。統一された視点で候補者を評価する構造化面接を実現し、事実を問うファクト質問を増やすことで選考のレベルも高められると鈴木氏は主張します。

鈴木氏の言う通り、面接データを映像として残すことで、採用・育成の質は大きく変わってくるでしょう。録画面接は距離的な課題や工数削減に役立つだけでなく、「採用データの資源化」にも大きく役立つということは覚えておきたいポイントです。

どんな企業も明日からできる採用データ活用法

最後の登壇者はウイングアーク1st株式会社の人事ソリューションエバンジェリスト民岡良氏です。

HRテクノロジーを導入したいが活用できるようなデータがないのであきらめている……。現実的にはそんな企業も多いのではないでしょうか? そこで役立つツールとして民岡氏はBIツールMotionBoardを掲げます。

MotionBoardはグラフや表など自由な形式によるデータの見える化ツール。勤怠データや営業成績、部門ごとのエンゲージメントなどあらゆる情報をドラッグ&ドロップで一画面にまとめられます。「人事部門と他部門のデータをかけ合わせて比較することで新たな発見があるはず」と民岡氏。

例えば、業務別にかけられている工数と営業成績を一画面で比較すれば、トップセールスマンはどのような時間の使い方をしているのか、その反対に成績の落ち込んでいる営業マンは何が足りないのかがわかるかもしれません。

国産でサポート体制も充実しているウイングアーク1stのMotionBoardなら、明日からでもデータ活用を始められると民岡氏は主張します。「Excelデータしかない」という場合であってもドラッグ&ドロップ操作だけで画面を作れるのであれば、確かに多くの人事担当者が対応できそうです。ウイングアーク1st主催のデータリンピックに参加すれば無料で試用できるので、まずはそちらで試してみるのも一つの手だといえるでしょう。

終わりに

変化のまっただ中にある日本の採用市場。その中で他社から一歩抜きんでる際、HRテクノロジーやデータ活用についての知見は不可欠なものになってくる。そう感じさせられるセミナーでした。 最後に今回のセミナーを総括する質問を、最後の登壇者で主催者の一人でもある民岡良氏に伺いました。

― 今回のイベントを主催された理由をお聞かせください。

前職からタレンタさんとお付き合いがあって同様のセミナーを行っていたからです。どんな製品ともコラボレーションできるMotionBoardの担当者となった今、これまで以上に自由に人事の方に役立つ知見をお伝えしたいという考えもありました。

― 実際イベントを終えての感触はいかがですか?

製品についての話もありましたが、それだけに限らず明日から役に立つ話ができたと自負しています。HRテクノロジーやAIと聞くと「すぐにはできないのでは?」と身構えてしまう方も多いと思うのですが、やろうと思えば誰でもできる領域はあります。「今日の話を聞いて「明日からさっそくまず一歩を踏み出そう」と考えてもらえたならうれしいですね。

― 最後にHireVueとMotionBoardのコラボレーションの可能性についてお伺いできますか?

個人的にはHireVueで記録した映像やアセスメントのスコアなどのデータを入社後の生産性や定着率などほかのデータとかけ合わせて分析する際に、MotionBoardは有意義なツールだと考えています。正式な答えはHireVueの日本総代理店であるタレンタ社のみなさんの中にあると思いますが、HireVueを使って取得したデータを採用後も活かし続けるのであれば、MotionBoardはよりそのポテンシャルを発揮できるのではないでしょうか。

― ありがとうございました。

参考URL

構造化面接を実施する┃Google re:Work
タレンタについて┃タレンタ株式会社公式

宮田文机

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