青森県弘前市は22日、トヨタ自動車(本社愛知県)の生産管理ノウハウ「トヨタ式カイゼン」をリンゴ産業に導入してもらおうと、生産者向けの講習会を同市の長慶閣で開いた。参加した生産者やリンゴ関係団体職員ら約40人が生産性アップのヒントを探った。
市は人手不足が深刻化するリンゴ産業の省力・効率化を目指し本年度、トヨタにカイゼンを業務委託している。昨年秋には市内のリンゴ施設でトヨタ社員が指導した。この日は、トヨタアグリバイオ事業部の石川新樹さんがカイゼンの基本的な考え方や導入のポイントなどを解説した。
カイゼンは「徹底的な無駄の排除による原価低減と定義できる」と説明した石川さん。利益を得るために原価を下げるという考え方で、コストを可視化したり、仕事内容を見直して生産性を上げることが必要不可欠だと強調した。
見直すべきポイントに「作りすぎの無駄」を挙げた。例えばリンゴの箱詰め作業の場合、ノルマ以上に箱詰めすることは運搬コストや在庫管理の手間を増やすことになると指摘。収穫作業などのメインの仕事に伴う「農機・資材を運ぶ」などの「付随作業」から無駄を見つけて変えていく必要があるとし、「小さいカイゼンを積み重ねていくことが重要」と呼びかけた。
参加した同市のリンゴ農家、成田祐介さん(39)は「作業を『見える化』して従業員が働きやすい環境にするとか、身近なことから改善できることをしていければ」と話した。