文化財守れ 岡山市消防局が訓練 緊急時の対応手順確認

本堂(左)に炎が迫る火災を想定して放水する消防訓練=岡山市東区広谷、如法寺無量寿院

 文化財防火デー(26日)を前に、岡山市消防局は23日、岡山県重要文化財の如法寺無量寿院(同市東区広谷)本堂で消防訓練を行った。岡山東消防署や地元消防団、無量寿院から計25人が参加し、緊急時の対応手順を確認した。

 雑木林から出た火が強風で燃え広がり、延焼の危機が本堂に迫っている―との想定。火災に気付いた大石賢映住職が119番するとともに、寺関係者と初期消火をしたり、本堂から仏像や掛け軸を運び出したりした。駆け付けた消防隊員らはポンプ車からホースを延ばし、一斉放水。負傷者1人の応急手当ても行った。

 無量寿院は国重要無形民俗文化財「西大寺会陽」で裸衆が奪い合う宝木(しんぎ)の原木を授受する寺として知られる。本堂は1768年に建立され、2014年に県重文指定を受けた。大石住職は「迅速な対応の重要性を再認識できた。歴史ある文化財を守るために、普段から火の元に注意するよう心がけたい」と話した。

 文化財防火デーは1949年1月26日、奈良・法隆寺金堂の壁画が焼損したことを教訓に、国が55年に定めた。このほか岡山市消防局は26日までに神社、寺院4カ所で同様の訓練を行い、防火設備の特別検査も44カ所で実施する。

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