体調不良…町長が辞職、心労で休職中だった 回復せず医師「長期療養が必要」 家族など相談し決意 若者イベント開催、給食無償化など実現「小さな町の改革たやすくない」

辞職の意向を伝える柴崎勉町長=22日午前10時ごろ、皆野町役場

 埼玉県皆野町の柴崎勉町長(62)が22日、町役場で会見を開き、体調不良を理由に2月下旬をめどに町長を辞職する意向を示した。昨年12月に医師から「長期療養が必要」と診断され、今月20日まで休職中だった。柴崎氏は「現在も体調は回復せず、町長としての職責を十分に果たすことができない」と説明。現在1期目で、任期は2026年4月まで残っていた。22日から休職を解き、辞職日まで町長の公務は継続する。

 柴崎氏が議長に辞職願を提出し、辞職が認められれば、公職選挙法の規定により、町選管はその翌日から50日以内に町長選を行うことが定められている。

 柴崎氏は「行政職は初めての経験ということもあり、さまざまなストレスが体調不良の要因だった」と病状を報告。先週に町幹部職員や後援会幹部、家族と相談し、辞職を決意したという。

■町民「残念」「治療に専念を」

 「笑顔あふれるまちづくりの推進を期待し、たくさんの町民に支持を頂いたが、期待に応えることができなかった。任期途中での辞職となり、町職員にも多大な迷惑をかけ、心よりおわび申し上げたい」。22日午前、皆野町役場で会見を開いた柴崎勉町長(62)は、神妙な面持ちで、町民や職員に謝罪の気持ちを伝えた。約2年半の任期を残しての辞職表明に、町民からは「残念」「治療に専念を」などの声が聞かれた。

 同町の60代女性は「ジョギングで町内を回るなど、町長選挙時(2022年4月)は、どの候補者よりもエネルギーにあふれる印象だったが、最近は体調がかなり悪いように見えた。治療に専念してほしい」と語り、辞職に理解を示した。

 自営業の80代男性も「体調が悪いなら続けるわけにはいかない」と心配した。一方で、「行政未経験者だったので、町政運営を任せるのに多少不安はあった」と、胸中を明かした。

 柴崎氏は約20年社長を務めた文化企画会社の実績を生かし、「活力のある町づくり」を目指して町長選に初出馬。町議経験を持つ他の候補者3人を僅差で退け、新人同士の接戦を制した。

 男性は「(皆野町は)前町長が4期連続で務めているので、町政基盤がそれなりに固まっている。民間企業の社長が首長になるのは全国的に珍しいことではないが、町関係者と衝突が続くのは必然。小さな町を改革するのは、たやすいことではない」と話した。

 小学生の子どもを持つ30代女性は「(町内小・中学校の)学校給食費の無償化や、若者向けのイベント開催など、少子化対策に目を向けた取り組みを強化していたので、辞めてしまうのは残念」と肩を落とす。後任を決める選挙は春ごろ行われる予定だが、「次の町長も子育てしやすいまちづくりを進めてほしい」と期待を込めた。

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