茂木健一郎「お金がある・ない、結婚している・してない、子どもがいる・いないでは“幸せ”は決まらない」“幸せの基準”とは?

脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では リスナーの皆様から寄せられたお悩みに茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
1月20日(土)の配信では、「幸せの基準」に関するお悩みに答えました。

パーソナリティの茂木健一郎

<リスナーからの相談>
税金や物価など、生活するうえで、ますます大変になってきています。 お金はあるに越したことはありませんが、お金があれば幸せなのでしょうか? 最近、よく考えます。茂木さんの「幸せの基準」は何ですか?

<茂木の回答>
脳の中のいろいろな神経伝達物質・ドーパミン、セロトニン、エンドルフィン類、オキシトシンなどが“幸せの感覚”に関係しています。

(「意欲」「快楽」「運動」などに関係する神経伝達物質)ドーパミンは、たとえば何か仕事をしてお金をもらったりすると出ます。ですからお金は(生きていくために)必要であると同時に、脳にとっては抽象的な報酬物質だと言われているんですね。

もともと、お金自体には価値がないのに、人間の脳にとっては価値があるような活動が生じて、そのときにドーパミンなどが出るということは判明しています。

一方で、“幸せ”に関する科学的な研究が一貫して示してきたことは、幸せというのは、ある特定の条件で決まることではないと。たとえば、お金がある・ない、結婚している・してない、子どもがいる・いない、あるいは気候が暖かい・寒いなど、そういうことでは幸せは決まらないということがわかっています。幸せというのは、常に合わせ技というか、いろいろな要素がすべてバランス良く整うと幸せになるんですね。

ですからバランスの良い生活、バランスの良い人生(を過ごすことがポイントです)。お金でいえば、お金をたくさん儲けるために働きすぎるのは幸せではない。ほどほどに働いて、ほどほどにお金をいただいて、ほどほどに美味しいご飯を、ときどき食べる。これが、バランス感覚が幸せなことです。

恋愛だって、彼氏・彼女のことが気になりすぎてしまって、かえって不幸せになるってこともあるでしょう。恋愛は良いことですが、依存してしまうと幸せじゃなくなってしまうこともありますよね。

ですから、“全部ほどほどにバランスを取っていくことが良い”ということが幸せの研究でわかっています。“脳の言葉”でいうと、いわゆるマインドフルネス。いろいろな要素をまんべんなく見ることと、幸せというのは非常に関係しているのかなと。

ご自身の人生を、お金とか恋愛とか仕事とか、学生さんだったら成績とか、それだけで見るのではなく、自分の人生全体をマインドフルネスで見ることが大事なのかなと。幸せとは、人生のトータルなバランスのことであるということかなと思います。

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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/11745

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