ボクシングの寺地拳四朗が王座防衛 カルロス・カニサレス破る【ハイライトつき】

WBA、WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ 4回、カニサレスを攻める寺地拳四朗(エディオンアリーナ大阪)

 世界ボクシング協会(WBA)、世界ボクシング評議会(WBC)ライトフライ級タイトルマッチが23日、大阪市のエディオンアリーナ大阪で行われ、統一王者の寺地拳四朗(BMB、城陽市出身)が、挑戦者でWBA同級1位のカルロス・カニサレス(ベネズエラ)を判定で破って王座防衛を果たした。

 寺地は2回にカウンターから右ストレートを浴びせたが、3回に強打を浴びてダウンを奪われるなど、序盤から激しい打ち合いとなった。中盤から、寺地は左ジャブと右のボディーで組み立て、終盤は距離を取って決定打をもらわない作戦で逃げ切った。防衛はWBAが3度目、WBCは4度目。戦績は23勝(14KO)1敗。世界戦では通算14勝目となり、具志堅用高と並んで日本人歴代3位の勝利数となった。

 WBAフライ級1位で世界初挑戦のユーリ阿久井政悟(倉敷守安)は、王者のアルテム・ダラキアン(ウクライナ)に3―0で判定勝ちし、新王者となった。ユーリ阿久井は的確にパンチを当て、手数でも上回った。

 人気の元キックボクサー、那須川天心(帝拳)はWBAバンタム級14位のルイス・ロブレス(メキシコ)との8回戦にTKO勝ちし、転向後3連勝とした。3回終了後に相手が棄権した。

壮絶打ち合い「必死」

 壮絶な打ち合いを制したのは拳四朗だった。「必死の一言。ここにベルトがあるのがうれしいです」。最終回までもつれた死闘を終えた顔にいつもの笑みはなく、疲れた表情で安心感を語った。

 2回、早くも拳四朗が前に出た。ガードを固め、相手のパンチにもひるまない。打ち終わりに生まれた隙を逃さず、残り約1分、右フックで顔面を捉えてダウンを奪った。だが相手は元世界王者。強く、重いパンチで3回にダウンを奪われて以降は、互いに一歩も譲らない打撃戦となった。

 中盤は「必死すぎて詳しくは覚えていない」。手を緩めず打ち続けて優位に立った。左右上下へ多彩に打ち分ける技術の高さが際立った。それでも試合後は「悔しい。これじゃだめ」と反省の言葉が止まらなかった。

 強敵を破っても満足できないのは王者としての自覚と責任感からだ。「見に来てくれる人がすっきり終われる」「『判定でいいか』と思うのは、パフォーマーとして微妙」。プロ10年目でベテランと呼ばれる年齢になり、KOへのこだわりが芽生えている。

 11回からはセコンドが「(相手に)触らせるな」と指示。足を使って距離を取り、着実にポイントを稼ぐ戦法に切り替えた。拳四朗は「その選択ができたことは良いこと」と判定勝利を喜びながらも「やっぱりその分悔しさもある」。

 ライトフライ級での4団体王座統一か、フライ級に転向して2階級制覇か。進む方向に注目が集まる。「先のことは考えていない。今はこの試合を見直して反省を見つけたい」。苦闘を制し、2本のベルトの重みを再確認したチャンピオンは、また新たな飛躍の糧を得た。
 

© 株式会社京都新聞社