首都圏で運行されている東急の豪華観光列車「THE ROYAL EXPRESS(ザ・ロイヤル・エクスプレス)」。3月上旬までの期間、愛媛県内などを走るのを前に、報道陣に公開されました。そのお値段は…、3泊4日で、なんと、ひとり96万円からです。
1月21日、愛媛県のJR松山駅ホーム。電気機関車に引かれながら、深い青色に金色のラインの入った列車が、JRの特急列車の隣に滑り込んできました。
東急の豪華観光列車「THE ROYAL EXPRESS」です。
2017年に運行が開始されて以降、JR横浜駅を起点として関東各地の観光地を巡っている豪華列車ですが、1月26日から期間限定で、愛媛県内など瀬戸内エリアを走るのを前に、報道陣に公開されました。
ホームに敷かれた青いカーペットから列車内へ進むと…、ふんだんにあしらわれた木目と、調度品に包まれた、まるで高級ホテルのような空間が現れました。
(添乗員)
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」
出迎えてくれたのは、白い制服に身を包んだ添乗員。15組、最大で30人となる乗客に対して、13人が付くんだとか。
(東急の社員)
「四国・瀬戸内の旅のテーマ曲となっております」
(音旅演出家・ヴァイオリニスト 大迫淳英氏)
♪演奏 ~THE ROYAL EXPRESS~ 四国・瀬戸内の旅♪
なんと、テーマ曲まであるんです。
優雅な音楽に導かれて、我々取材陣が通された車両は「ダイニングカー」と呼ばれる客車。
指定された座席は、ゆったりとしたソファに、組子細工などが施された温もりが感じられる空間が広がります。見上げると天井にはステンドグラスが。窓の外に流れる風景が無ければ、列車であることを忘れてしまいそうです。
乗客はここで、バイオリンやピアノの生演奏を聞きながら、一流の料理人が手掛ける食事を楽しむということです。
気になるツアーのお値段は、3泊4日の行程で、なんとひとり96万円から。岡山駅発着の列車とバスを利用し、高級ホテルに泊まりながら、道後温泉やしまなみ海道などを巡ります。
(城 健大呂記者)
「こちらトイレなんですけども、金色ですね…」
全てが“特別”なこの列車、四国を走らせるまでには様々な苦労があったようです。
ーー関東の私鉄の列車が、四国に来るということは、なかなかすごいことでは?
(JR四国 運輸部運輸課・南 壮憲課長)
「そうですね、非常に大きなプロジェクトで。JR四国でクルーズトレインの運行は初めてですし、私鉄の東急やJR西日本など、色々なところと関係して運行することも初めてなので」
例えば「パンタグラフ」。架線から電車に電気を供給するための装置ですが、今回、四国で運行される「THE ROYAL EXPRESS」からは取り外されています。
予讃線のトンネルは、蒸気機関車が主流だった戦前に作られ、ほぼそのままの形で使用されているものが多いことから、現代の基準から見ると、やや小さいそう。
そのため、JR四国が運行する列車と比べて背の高い東急の車両は、パンタグラフが取り外された上で持ち込まれました。
車内で必要となる電力は、専用の電源車がまかないます。
JR貨物が所有する電気機関車を、JR四国の運転士が操り、瀬戸内エリアを走り出す東急の豪華観光列車。
(JR四国 運輸部運輸課・南壮憲課長)
「やはりこれまでしっかり準備をしてきて、ようやく運行間近になってきたということで、色々な課題もありましたが、それも乗り越え、実際の運行に近付けたということは、非常に感慨深いです」
関係者の思いも乗せ、1月26日に高松駅で出発式が行われます。
(東急 クルーズトレイン推進グループ・松田高広統括部長)
「愛媛の魅力、四国の魅力を、この旅で存分にお客様にプレゼンテーションできればと思う」
「THE ROYAL EXPRESS」は、今年3月までに合わせて6回運行されます。
ひとり約100万円という高額なツアーにも関わらず、既に満席に。東急によりますと、2023年夏に行われたツアー販売には、定員に対して約2倍の応募があり、抽選が実施されたということで、その乗客の多くは首都圏からの参加者となる見込みです。
いつかは乗ってみたい、まさに高嶺の花。ひたすらに豪華絢爛な世界に圧倒された取材の帰り道となりました。
特急電車に乗るだけでも、ちょっとした旅気分を味わうことができます。皆さんもたまには電車の旅というのはいかがでしょう。