青森県の教育改革、具体策を44項目に倍増 有識者会議が宮下知事に提言

 県教育改革有識者会議(議長・大谷真樹知事参与)は23日、青森県の今後の教育の在り方や方向性をまとめ、宮下宗一郎知事に提言した。直ちに取り組むべきこととして、昨年11月の中間報告と同じく(1)学校の働き方改革、教職員の幸福度向上(余白づくり)(2)教育DX(デジタルトランスフォーメーション)、学びの環境アップデート(3)学校の経営力強化(校長の伴走型支援)-の3本柱を挙げた。具体策を示す小項目は中間報告時点の23から44にほぼ倍増。若手の管理職登用や人工知能(AI)ドリルの導入などの項目も加わった。

 知事は今後、提言された内容を総合教育会議で教育委員会と協議した上で、年度内に教育大綱を策定する。同日、県庁で宮下知事に概要を説明した大谷参与は冒頭「教育は未来への投資。重点的な予算措置など政策資源の集約化が講じられるべき」と述べた。

 具体策として加わったのは教職員の負担軽減分野で▽職員会議資料や学校配布物などの原則ペーパーレス化▽家庭で自主的な学習ができるよう1人1台端末の家庭利用推奨-など。

 市町村立学校も連動して働き方改革を進める必要があるとして、財政支援を含めたサポートを行うよう言及した。

 また、子どもたちの学びのアップデートの分野では▽AIドリル導入など個別最適・多様な学習のモデル校指定-などが加わった。

 学校の経営力強化の分野では「意欲と能力が高い若手教職員の登用や民間からの登用など管理職(校長・教頭)への新たな登用基準の作成・明確化」を加筆、若手のモチベーション向上につなげたい考え。

 同会議は常任委員8人、特別委員10人で構成し昨年7月末に設置。全教職員や保護者を対象にアンケートを実施したほか計11回の会議を重ね、国内外の教育実践例などを情報共有し議論を重ねてきた。

 大谷参与は「今までの延長上での改善・改革ではなく、理想からの逆算での提言。先生方の環境改善が第一歩で、先生の幸せが子どもの幸せにつながる」と述べた。教育は人口社会減の防波堤にもなり得るとして改革の実現に期待を込めた。

 宮下知事は「改革の成果を上げるにはスピード感が大切。これから県内で実践に移るが、教育委員会が現場の声に耳を傾けながら着実に実行するよう、総合教育会議を通じて要望する」と語った。また、教育改革は来年度の重点事業と位置づけ、優先して予算措置を講じるとも述べた。

 同会議は来年度以降、教育委員会の取り組みや進捗(しんちょく)状況を共有し、より効果的な政策につなげたい考え。

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