当時社長の斎藤容疑者 不正見積書、自ら選択か 3800万円水増し 水戸京成百貨店不正受給 茨城

水戸京成百貨店=水戸市泉町

水戸京成百貨店(茨城県水戸市)を巡る国の雇用調整助成金の詐取事件で、当時社長の斎藤貢容疑者(66)=詐欺容疑で逮捕=らがだまし取った疑いのある約1億3300万円のうち、水増し分は約3800万円だったことが23日、捜査関係者の話で分かった。当時の総務部長らは、休業日数を変えた3種類の収支見積書を作成。県警は、日数を改ざんした見積書を斎藤容疑者が自ら選んで指示したとみて調べている。

斎藤容疑者らは百貨店の従業員約400人について、2020年4~5月の休業日数を水増しした虚偽の申請書を、同8月に茨城労働局へ提出。同9月と10月に雇調金計約1億3300万円を同社名義の口座に振り込ませてだまし取った疑いが持たれている。

捜査関係者によると、申請額を決定する際、元部長らは休業日数を変えた3種類の収支見積書を斎藤容疑者に提示。一つは正規で、残り二つは休業日数を水増ししたものだった。県警に対する元部長の説明では、斎藤容疑者は日数を改ざんした二つのうち、休業日数がより多い方を選んだという。

県警は、元部長から任意で見積書の提出を受けたほか、同社の家宅捜索で関連する電子データを押収。斎藤容疑者が百貨店の黒字を確保するため、元部長らに不正な雇調金受給額や収支見積書を作成させたとみて調べている。

捜査関係者によると、斎藤容疑者は調べに「不正に関与していない」などと容疑を否認しているという。

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