改修が先か、契約延長が先かで双方お手上げ。イモラのアップデートは新たなF1契約に依存

 メイド・イン・イタリア・アンド・エミリア・ロマーニャGPを2026年末まで開催する契約を結んでいるイモラ・サーキットだが、その経営陣はイモラの構造物がザントフォールトとともにF1カレンダーのなかでもっとも時代遅れであり、F1における長期的な未来を確保するために施設のアップグレードに多額の投資が必要であることを認識している。

 もちろん、アウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ(イモラ・サーキットの正式名称)の地理的な状況について、ジャンカルロ・ミナルディと彼の経営チームができることは何もない。なぜなら、リバッツァのコーナーからトサのヘアピンまではサンテルノ川が流れ、丘陵地には多数のヴィラが存在することから、コースの長さの半分は制限があって構造物を拡張する余地がないのだ。

 それに加えて、サーキットの周囲には少なくとも20軒の住宅があり、所有者たちは家を売って引っ越すことを望んでいない。ファンやチーム、そしてグランプリ開催に必要なその他のスタッフにとってサーキットをより使いやすいものにするためにスペースを増やすという点で、ほとんどできることがないのは明らかだ。

 ステファノ・ドメニカリはイモラで生まれ育ち、F1を故郷に持ち帰ったことを誇りに思ってはいるが、アウトドローモは時代とともに前進する必要があることを認識しており、イモラの経営陣に対して2026年末までの現行契約を延長するための交渉を始める前に、施設の改修計画を立てるよう求めている。

 一方でサーキット側は、たとえばピットレーンとパドッククラブの上に3階を追加し、ホスピタリティのためのより広いスペースを確保し、メディアセンター、テレビブース、F1コンパウンドをコースのパドック側に戻すといった大規模な投資について、今後何年にもわたってF1レースを維持できる保証がない状況で確約することに消極的だ。そのため、双方とも相手が先にコミットすることを望むというお手上げの状態にある。

 それに加えて、50年以上にわたってモータースポーツに全力を注いできた76歳のジャンカルロ・ミナルディが、引退生活を楽しみたいと考えていることが明らかになった。仮に彼が離脱しようものなら、イモラは最大のアンバサダーと同時に、このスポーツでもっとも多くの人脈を持つ人物を失うことになる。

 すでに後継者探しが本格化しているが、今のところ成果は挙がっていない。このことが地方自治体とACIイタリア自動車クラブにとって、現在の最優先事項となるだろう。後継者はアウトドローモの新代表となって、グランプリ開催契約の延長に向けたフォーミュラワン・グループとの今後の交渉を主導することになるからだ。

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