障害がある子も家族で映画館に 照明明るめ、音量控えめのバリアフリー上映会 岡山・倉敷市

障害や病気の影響で、映画館で映画を見ることが難しい子どもたちがいます。そんな子どもや家族にも、周囲を気にせずに映画を楽しんでもらおうという上映会が21日、岡山県倉敷市で開かれました。

MOVIX倉敷で初めて開かれた「家族でバリアフリー映画鑑賞会」。初回を記念して入場は無料です。

企画したのは、総社市の一般社団法人KaiKaiで代表を務める佐薙幸一さんです。

佐薙さんは、重い知的障害と体の障害がある重症心身障害児や、日常的にたんの吸引などが必要な医療的ケア児などを専門としたデイサービスを運営しています。佐薙さん自身も重い障害がある長男の海成君(5)を育てていて、常にたんの吸引などの医療的ケアをしています。

佐薙さんがこの上映会を開いたきっかけは、海成君を映画館に連れて行ってあげたいという思いでした。

(上映会を企画/佐薙幸一さん)
「(たんの)吸引とか泣いてしまったりとか大きい音を出してしまうので、映画館に連れて行くというのが難しいところがあって、今まで下の双子しか映画館に連れて行ったことがなくて、(海成君に)申し訳ないと思っていた。周りの全員が同じような境遇の子たちばかりだったら、逆に気にならないんじゃないか」

この日、映画館に集まったのは障害や病気などの影響で親子そろって映画館に行くことが難しい140人。

会場には車いすの子どものために特設のスロープを設置したほか、敏感な子どもたちがパニックにならないよう、照明は通常より明るめに保ち、音量も控えめに設定しました。

上映されたのは、子どもに人気のアニメ映画。大きなトラブルもなく、約1時間半の上映会は無事終了しました。

(上映会を企画/佐薙幸一さん)
「面白いシーンとかで皆の笑い声が聞こえたりして、一体感というか、皆も楽しいのかなと思いましたね」

初めて家族で映画館に来たという人たちは……。

「この子も普通に楽しんでいたので『あ、来れるんだ』と思って。新しい発見があって楽しかったです」
「連れて来られないなと思っていたので……。(周りに)仲間たちがいっぱいいるみたいな感じがして、安心感あって見られました」
「いつもと違う経験なので気分転換にもなるし、いいことずくめだなと思っています」
「バギー(車いすの一種)で映画館に来るとなると、心理的なハードルがすごく大きいので、こういう機会を設けてくださって本当に感謝しています」

この映画上映会は、2024年5月か6月に第2弾を開く予定だということです。

(上映会を企画/佐薙幸一さん)
「映画館で映画を見たということを通して、家族の思い出をつくっていただけたらと思います」

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