上富田町の長井さん「名誉領事」に ボスニア、和歌山との友好の橋渡しに謝意

物流会社の玄関に名誉領事館の看板を掲げるズラタン・ブルジッチ外務省大臣官房長(右)と長井保夫名誉領事=23日、和歌山市で

 東欧にあるボスニア・ヘルツェゴビナは23日、和歌山市に「名誉領事館」を設け、同国と和歌山の友好の橋渡しをしてきた上富田町生馬の「プラム食品」会長、長井保夫さん(74)=上富田町朝来=を「名誉領事」に任命した。

 長井さんは同国のシニシャ・ベリャン前駐日特命全権大使と懇意で、困り事の相談に乗ったり、すさみ町と同国のイェゼロ市の友好姉妹都市提携(2022年6月)、和歌山大学と東サラエボ大学の大学間協定(同7月)の締結につなげたりした。同国はその功績に感謝するとともに、さらに日本との友好関係を深めたいと、長井さんを和歌山県を含む近畿2府4県を管轄する「名誉領事」に任命。プラム食品の取引先である和歌山市中の物流会社「フリゴ」和歌山物流センター内に「名誉領事館」を設けた。

 同国のマト・ゼコ駐日特命全権大使やズラタン・ブルジッチ外務省大臣官房長らが来県し、長井さんと物流会社玄関に看板を設置。ブルジッチ官房長が長井さんに任命証を手渡した。

 長井さんは「身に余る光栄。余生をボスニア・ヘルツェゴビナと日本の友好のために精いっぱい頑張りたい」と話した。すさみ町や和歌山大学の協定に基づき、子どもや若者の交流活発化を目指す。また、同国から医療レベルを上げたいという希望があるため、日本の病院で使用した機器類を進呈し技術指導することも進めたいという。

 ゼコ大使は「両国は遠く離れ、文化も違うが心は同じ。両国民とも友好的で平和を愛するという共通点がある。(名誉領事館の設置を)日本、とりわけ和歌山の人々との絆がどんどん深まるきっかけにしたい」と話した。

 日本がボスニア紛争後、同国を支援してきたことから「日本は最初に、しかも最大規模の援助をしてくれた。日本人への印象が非常に良く、来るとなると兄弟のように歓迎している。ビジネスはもちろん、観光でも来てほしい」と笑顔で呼びかけた。

 ボスニア・ヘルツェゴビナは人口約300万人。首都はサラエボ。サッカーが人気で、元日本代表監督のオシム氏やハリルホジッチ氏の出身国でもある。

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