尼崎の温浴施設が下水道料金5.5億円未払い 地中にメーター迂回の配管、過少申告目的で敷設か

下水道使用料の未払いが判明した「つかしん天然温泉 湯の華廊」=24日午後、尼崎市塚口本町4

 グンゼ(大阪市)は24日、子会社が運営する温浴施設「つかしん天然温泉湯の華廊」(兵庫県尼崎市塚口本町4)で温泉や地下水のくみ上げ量の過少申告があり、下水道使用料が一部未払いになっていたと発表した。1月末までに遅延損害金を含む5億5200万円を支払う。

 未払い期間は2004年7月の開業から23年11月までで、同社はこの間の未納分について、いずれも管轄する伊丹市に4億1700万円、尼崎市に1億3500万円を支払う。

 グンゼや両市によると、23年7月に温泉水タンクを保守点検した際に異常が見つかり、配管状況を調査する目的で現場を掘削したところ、温泉と地下水をくみ上げる配管(直径約15センチ)に付いたメーターを迂回する形で別の配管(同)が付いていたという。これにより、両市に申告していた使用量が実際の取水量より少なくなっていた。同施設の23年の取水量は約20万立方メートルで、半分近くが迂回配管を通っていたという。

 同社は「当時の図面に迂回配管の記載がなく、敷設した理由は分からない」と説明する一方、「地中に埋設されていることなどから、過少に申告するために敷設された可能性がある」としている。

 担当者は「地域住民の皆さま、関係者の皆さまにご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます」と謝罪。今後、当時の担当者や施工業者に聞き取りを進め、敷設の経緯を調べる。(山岸洋介、浮田志保)

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