ハンカチやスマートフォン、鍵など、洋服のポケットに必需品を入れて、手ぶらで外出するという人も多いのでは？
ペットボトルやタブレットも持ち運べる「多ポケットマウンテンパーカーコート」（写真提供：ニッセン）
しかし、実は女性用の衣類にはポケットが付いていなかったり、付いていても小さめだったり、浅かったり･･･と、あまり実用的でないというのも事実。ＳＮＳでも「女性用衣類には使えるポケットがないので付けて欲しい」と定期的に話題となっており、男性用と比べて実用性が低い点が指摘されている。
そんななか、背中にまでポケットを備えた「多ポケットマウンテンパーカーコート」（８７８９円）を、通販の衣類メーカー「ニッセン」（本社：京都市南区）が開発。今冬、販売開始すぐに完売するほどとなった同商品について、広報担当者に開発秘話を訊いた。
■ ＰＣやタブレットも持ち歩くことができる
──外側に３個、内側に４個！ 想像以上にたくさんポケットが付いていて驚きました。
企画検討をおこなっていた当時、スマートフォンによる電子決済の利用が周囲でも増えてきたり、ミニマリストの生活がＳＮＳやメディアで特集されるなど、「荷物を持ち歩かない」というライフスタイルの変化を感じていました。
実際に私自身も電子決済の利用が多く、お財布を持たずに気軽に出かけることが増えていました。 このライフスタイルに合わせて、手ぶらや小さいカバンで、もっと気軽かつ身軽に外出することができる服が作れないかと思い、商品開発に至りました。
──しかし、なぜ背中にまでポケットを付けたのでしょうか？
開発をするなかで、「近所のカフェなどに、ハンズフリーでパソコンやタブレットを持ち歩きたい」というイメージがありました。なのでポケットは、Ａ４サイズが入る大きさにして、タブレットや書類や本なども持ち運べるようにしました。
──ＳＮＳでは「背中にタブレット･･･襲撃されても命拾いするやつやん」など話題となっていましたね（笑）。しかし、まさにカバンいらずで、秋冬の時期にはこのコートさえあれば出勤できそうですね。
そうなんです。ジャケットは中綿仕様で、外部からの衝撃を和らげてくれるクッションにもなりますし、落としてしまうこともありません。 両手が空くので移動時も安心です。まさか背中に入れているとは思えないデザインとシルエットなので、ぜひ体験してみて欲しいです。
外側に３つ、内側に４つポケットが備えられている「多ポケットマウンテンパーカーコート」（写真提供：ニッセン）
■ 機能面だけでなく、見た目にもこだわり
──しかし斬新な発想ゆえ、開発に苦労されたのでは？
そうですね。「入れる荷物量」「着用感」「価格」のちょうど良いバランスを実現するのに、非常に苦労しました。
この商品の軸である「多ポケット」に関しては、お出かけするのに必要最低限のポケットは何なのか、そして入れる荷物の量はどれくらいなのか、めちゃくちゃ試行錯誤しながら計画しました。 また、実際にポケットに物を入れると重たくなるので、コートの丈や中綿の量を調整しています。
──大事ですね。
便利だとしても着用している姿がイマイチでは、「これは良いな」と感じていただけません。機能商品ではありますが、ポケットに物を入れないで着用しても、かわいくおしゃれに見えるデザインにしています。また、高見えするけど、手に取りやすい価格にするために、素材やデザインにもこだわりました。
──実際に購入された方からは、どんな感想が届いていますか？
多くのお客さまから反響をいただいているのですが、特にポケットの活用方法について、さまざまなご意見が寄せられていて。 たとえば、背中のポケットにおむつやカイロを入れるなど、想像していなかったオリジナルな着用方法を教えていただいています。お客さまの生活のなかで「ちょっといいな」と感じていただけていることがうれしいです。
──残念ながら今シーズンは完売とのことですが、来年の秋冬にも発売されるのでしょうか？
はい、２０２４年１０月に発売予定です。お客さまからご要望をいただいたサイズ展開や、カラーバリエーション、またデザインバリエーションなど、次の秋冬に向けて準備しています。 コート以外の展開も検討中ですので、楽しみにしていてください。
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防災時にも役立ちそう（写真提供：ニッセン）
また同社では、男性向け多ポケットアパレルとして「カバン要らず」シリーズが発売中。荷物を持ち歩かないことが多い男性のニーズに応えた洋服が取り揃えられているが、飛行機の乗車時（重量制限に含まれない）防災時に重宝するという点でも今後注目を集めそうだ。
取材・文／野村真帆
