「新年祝い、別れを惜しむ日」=山梨県人会、会館売却を報告=4年ぶりの新年会で発表

新年挨拶と会館売却についての報告を行う小野副会長(右)と山口会長(中央)

 ブラジル山梨県人会(山口正男会長)は14日、サンパウロ市ミランドポリス区の同県人会館で4年ぶりとなる新年会を開催した。参加した会員ら約60人で新年の訪れをにぎやかに祝った一方で、山口会長ら役員から会館売却に関する報告も行われ、会場にはしんみりした雰囲気が漂っていた。

 挨拶に立った小野孝明(たかはる)副会長は新年の祝辞を述べるとともに、会館売却が昨年12月に行われたことを報告。「今日は新年を祝すだけでなく、数え切れないほどの会合や懇親会、さまざまな活動を開催し、会員たちに喜びの瞬間を提供してきたこの場所との別れを惜しむ日でもあります」と語った。
 山梨県人会は会員人数の減少による会費収入の低下などから、厳しい財政状態にあり、会館売却は、組織を存続させるために必要なことであると理事会が判断したという。
 また、山梨県人会では、設立時から2019年まで母県から毎年支援金を受け取り、県人会の維持費や社会及び文化活動費などに使用してきたが、20年のコロナ禍を機に支援金が中断された。加えて、県人会の主な収入源だった「県連日本祭り」への参加もコロナ禍を契機とする人員不足から行えなくなり、財政難を加速させた。
 収入源が失われた中でも、会館には維持費がかかり、売却が余儀なくされたという。
 売却値段や売却で得た資金の運用法などについての詳細は発表されなかった。
 今後の活動拠点には、サンパウロ市リベルダーデ区のブラジル日本文化福祉協会ビル5階のブラジル日本都道府県人会連合会事務所の奥にある、会館や事務所を持たない県人会のための共同作業室「53号室」が検討されている。

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新年会会場の様子。会館売却の報告を受け、しんみりとした空気が漂う
乾杯の様子

 山口会長は、新年会参加者の1世世代が自身を含め4人のみであり、参加者の多くが2~4世であることに触れた後、「これからの活動はさらに難しくなると思いますが、皆さんの協力を得て、できるだけのことを続けて行きたいと思います」と今後の活動に対する気持ちを述べた。
 その後、高野ジョルジ元会長から、昨年に行った県人会イベントに協力した約100人を対象とする、2泊3日の旅行企画が発表された。旅費は一人1000~1500レアルの見積もりだが、参加者は200~300レを負担すればよく、残金は県人会が負担するという。

2泊3日旅行を提案する高野元会長(右)

 新年会に参加した大久保テレジーニャさん(80歳、2世)は、懇談を楽しみながらも、会館売却に対し「去年から新しく参加する人も出てきて、活動が少しずつ活発になり始めていただけにとても残念」とため息をもらした。

サビアのひとり言

 財政難を理由に会館売却を決定した山梨県人会。時代の趨勢を鑑みるに、致し方ないと思える面もあるが、同時に発表された旅行企画には首を傾げさせられた。見積りの旅費を中間値の一人1250レ、参加者支払い額を250レとすると、参加者が最大の100人の場合、県人会は10万レを負担することになる。活動協力者への慰労は重要だが、財政難に直面している団体が行う企画としては「いささか豪華すぎるのでは」との声が会場からは聞かれた。

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