兵庫県芦屋市大原町の住宅街で、電柱にくくりつけられたレトロな看板が目に留まった。消火栓の位置を示す標識であちこち黒ずんでいるが、下部には広告らしき「三越」の名前とマークが見える。ただ、芦屋にある百貨店は三越ではなく大丸だったような…。
自治会長の男性に聞くと、かつて神戸・元町商店街にあった三越のことだろうと言う。大正から昭和にかけてにぎわい、「この地域の人も正装をして出かけ、それが一つのステータスだった」と懐かしむ。
看板がある辺りは大きな邸宅ばかり。三越の外商が出入りし、高級品を勧める中で看板のスポンサーに名乗り出たのか、などと想像が膨らむ。「確かに外商は多かった」と自治会長。古びた看板からもセレブリティを感じるとは。芦屋、恐るべし。(村上貴浩)