「昭和」生きた子の姿一堂に 栃木市美術館で企画展 土門拳ら著名写真家が活写

林忠彦の「煙草をくゆらす戦災孤児」(1946年、企画協力クレヴィス)

 戦争や高度経済成長などがあった激動の時代「昭和」を生きた子どもたちの姿を通し、時代を振り返る企画展「写真家が捉えた昭和のこども」が栃木県栃木市入舟町の市美術館で開かれている。日本の報道写真の先駆者として知られる木村伊兵衛(きむらいへい)(1901~74年)や土門拳(どもんけん)(1909~90年)、文学作家や戦後の東京の人々を写した林忠彦(はやしただひこ)(1918~90年)など著名写真家19人が撮影した170点を展示している。

 昭和の子どもの姿から生きる力を感じ取ってもらおうと企画。国内外で展覧会事業などを行うクレヴィス(東京都千代田区)の協力で写真を展示している。

 展示は7章構成で、戦前から高度経済成長を生きた子どもたちの日常や学校生活、働く様子などを紹介している。

 土門の作品は、海外に日本文化を紹介するグラフ誌「NIPPON」に掲載された「山女釣り」や、福岡県の筑豊炭田で働く労働者の子どもを写したものなど約50点。戦後の東京・上野駅で戦争孤児を捉えた林の「煙草(たばこ)をくゆらす戦災孤児」や、砂浜などを舞台に独特の演出で人気を集めた植田正治(うえだしょうじ)(1913~2000年)の「少女四態」などもある。

 杉村浩哉(すぎむらひろや)館長は「子どもたちの笑顔は輝き、生きる力に満ちあふれている。江戸から現代まで重層的な歴史を感じられる栃木市で、昭和を写した写真を見てもらいたい」と話している。

 関連イベントとして2月7日、認知症の人と介護者が美術を鑑賞して感想などを共有する「アートリップ」についての講演会が開かれる。無料で事前申し込みが必要。

 3月24日まで。午前9時半~午後5時。月曜休館。(問)同館0282.25.5300。

土門拳の「笑う子」(1953年、企画協力クレヴィス)

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